連邦準備制度理事会(FRB)は17日、18日の両日にわたって開催された公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利下げを決定した。政策金利の引き下げは7月に続いて今年で2回目。それ自体は大方の予想通りでニュース価値はほとんどない。注目されるのは利下げよりも今後の金融政策をめぐるFRB内部の意見対立の方だ。ロイターによると「政策当局者17人のうち7人は25bpの利下げが年内あと1回実施されるとの見通しを示す一方、5人は年内に利上げが必要になるとの見方を示した」という。セントルイス地区連銀のブラード総裁が50bpの利下げを主張した一方、ボストン地区連銀のローゼングレン総裁とカンザスシティー地区連銀のジョージ総裁は利下げに反対した。

トランプ大統領は利下げ決定後ツイッターへの投稿で、「根性なし。判断力なし。展望なし!」と今回の決定を批判。パウエル議長については「恐ろしいほど意思疎通が下手だ」、「議長とFRBはまたもやしくじった」と強烈な不満を露わにした。相変わらずの口先介入といったところだが、大統領が何を言うが中央銀行の独立性は確保されている。世界最大の権力者の発言は無視すれば済む。だが、FRB内部では利上げ派と利下げ派が真っ向から対立している。利下げ幅を巡って対立するというのはよくあることだが、片や利下げを主張しもう一方が利上げを主張するというは珍しい。それだけ米国経済の先行き見通しが難解ということでもある。その原因は米中の貿易摩擦にあるわけで、FRBというよりもトランプ政権が金融判断を難しくしている。

FOMCの声明は米景気の現状について以下の見解を示している。労働市場は「力強く推移」し、経済活動は「緩やかなペースで拡大している」。雇用の伸びは「概してここ数カ月堅調」で、家計支出は「力強いペースで増加した」。これだけ見るとどうして利下げするのと言いたくなる。たが「企業の設備投資と輸出は弱まった」。ここが最大のポイント。パウエル議長はおそらく「貿易摩擦がうまく解決できれば投資も輸出も増えて、米景気は緩やかな回復路線に復帰する。将来の金融政策を決定するのは大統領、あなたですよ」と。何のことはない、「トランプ大統領が経済運営を間違ったら利下げする」と言っているのである。「根性なし。判断力なし。展望なし!」というトランプ大統領の批判は、結局は大大統領自身に跳ね返ってくるのである。