
【ソウル時事】韓国のチョ・グク法相をめぐる一連の疑惑をめぐり、検察改革を訴える文在寅政権と捜査に当たる検察との一進一退の攻防が続いている。チョ氏の身内びいきの疑惑には世論の反発が強いが、文政権は強大な権限を持つ検察の改革を盾にチョ氏を後押しし、正面突破を図る構えを崩していない。文氏を支持する進歩派と対決姿勢を強める保守派はそれぞれ大規模デモを展開し、国論は真っ二つに割れている。
チョ氏の疑惑が次々と噴出する中、文氏が「疑惑だけで任命しなければ悪い先例となる」と法相任命を強行して約1カ月。検察は組織の指揮権限を持つ法相に対する異例の捜査を進め、不透明な投資や娘の不正入学などの「キーパーソン」と目されるチョ氏の妻の聴取に本格的に着手した。
着実に狭まる「チョ氏包囲網」に対し、文氏らは検察改革を前面に押し出してかわそうとしている。9月末には「改革を求める声が高まっている現実を省察してほしい」と検察をけん制。検察側は特捜部の一部廃止などの改革案の提示を余儀なくされた。
文氏の支持層でも法相任命に反対する声は多いが、「法相が追い詰められれば政権も急速にレームダック(死に体)化する」(与党関係者)との危機感は強い。最近の世論調査では、文氏への支持率は軒並み就任後最低を記録した。支持派は検察改革への団結を誇示しようと大量の支持者を動員し、検察庁前でデモを繰り返している。
これに対し野党勢力も今月3日にソウル中心部で大規模デモを行い、チョ氏の辞任を求めて気勢を上げた。9日も同規模のデモが開かれ、政権支持派と反対派の対立は先鋭化している。
政権の命運は、チョ氏本人に司直の手が伸びるかどうかに懸かっているとみられている。ただ、9日にはチョ氏の弟の逮捕状発付が棄却された。検察側も決め手を欠いており、妻の逮捕などに踏み込めるか正念場を迎えつつある。