米国とイランが暫定的な停戦に合意したことが、15日までに明らかになった。仲介役を務めるパキスタンのシャリフ首相をはじめ、トランプ米大統領、そしてイラン当局がそれぞれ発表した。19日にはスイスで調印式が行われる予定である。合意の詳細は式典後に公表される見通しだが、現時点では一部報道でその内容が伝えられている。トランプ氏は「ホルムズ海峡は無条件で開放される」と明言しており、世界経済を揺るがしてきた同海峡の封鎖問題は解決に向かうとの期待が高まっている。

イラン側の情報によれば、海峡の開放は19日の調印式後、つまり今週末にも実現する見込みである。しかし、暫定合意の先行きは決して明るいものばかりではない。停戦交渉の最中である14日にも、イスラエル軍がレバノンの親イラン武装勢力ヒズボラの拠点(ベイルート南部)を空爆しており、事態は混迷を深めている。トランプ氏は今回の攻撃に対し、「不愉快であり、正気の沙汰とは思えない」(ロイター)と強い不快感をあらわにした。

また、イランのモハンマドバゲル・ガリバフ国会議長は、「米国には約束を守る意志が、あるいは能力が欠如している」と批判するなど、イスラエルとヒズボラの衝突が合意の根幹を揺るがしかねない状況だ。

さらに、両国間には核問題をめぐる深い溝が依然として存在する。この問題が今回の暫定合意にどこまで盛り込まれているかは不透明である。イラン側は「60日間の停戦延長期間を設け、その間に協議を継続する」との立場を強調している。

核開発に関連して凍結されているイランの資産解除問題も大きな懸念材料だ。報じられているところによると、米国はウラン濃縮活動のモラトリアム(一時停止)期間を「20年間」と要求しているのに対し、イランは「5年間」を主張して譲っておらず、交渉は難航している。

加えて、備蓄ウランの廃棄(破壊、撤去、または希釈)についても主張の隔たりは大きい。トランプ氏は「ウランを米国へ輸送して破壊する」と主張するが、イランのアラグチ外相は「国内での希釈」を主張し、一歩も引かない構えを見せている。イランが核兵器開発の制限に合意したとしても、それと表裏一体である凍結資産の解除に米国が即座に応じるかどうかは不透明なままだ。

いずれにせよ、暫定的な停戦合意は成立したものの、今後60日間の交渉期間に多くの重要課題が先送りされた格好となった。長年解決に至らなかった核問題が、限られた期間内に順調に合意へ向かうのか、先行きは依然として不透明と言わざるを得ない。米国とイランのみならず、中東全域に真の平和がもたらされるまでには、依然として多くの高い壁が立ちはだかっている。