チョ・グク前法務部長官の拘束令状が棄却された。文在寅(ムン・ジェイン)政府初代民情首席を務めた彼は「検察改革」の象徴的人物だ。チョ氏の身辺を確保した後「親文」要人に対する捜査を続けようとしていた検察の計画に支障が避けられなくなった。無理な捜査という批判も続くものとみられる。一方では裁判所に対する批判の世論が激しくなっている。これに先立ってウ・ビョンウ元民情首席などが職権乱用の疑惑で拘束された前例があるからだ。

27日明け方、ソウル東部地裁のクォン・ドクジン(50・司法研修院第27期)令状専門担当部長判事は職権乱用権利行使妨害の疑惑で検察が請求したチョ氏の拘束令状を棄却した。クォン部長判事は「犯罪疑惑が釈明されて罪質は悪いが、証拠隠滅や逃走の憂慮がなく、拘束するほど犯罪の重大さが認められると見難い」として棄却理由を明らかにした。

この日4時間20分間行われた令状実質審査(拘束前被疑者尋問)を終えてソウル東部拘置所で待機していたチョ氏は直ちに正門を通じて拘置所を出た。配偶者である東洋(トンヤン)大学のチョン・ギョンシム教授が拘束されて63日ぶりに行われた令状審査の結果、チョ氏は拘束を避けた。

チョ氏側は令状審査で「監察を中断させたというのは事実でない」として「ユ・ジェス副市長の所属機関に不正の事実を知らせ、それに相応する措置を取るように求めたのがチョ氏の決定だった」と主張したという。裁判所が拘束の必要性が認められないと判断しながらチョ氏のこのような主張を受け入れたという解釈が出ている。

チョ氏は令状審査で「政務的判断に対する責任は私にある」としつつも「だが、罪にならない」と強調したという。青瓦台特別監察班(特別監査班)の報告内容に基づいて通常の手続きの範囲内で決めたため、職権乱用に該当しないという意味だ。チョ氏は特別監査班の監察終結の事実は認めつつ法律的責任はないという戦略で拘束を避けることになった。

検察はチョ氏がぺク・ウォヌ前民政秘書官らを通した「親文」勢力の請託を受けて監察を揉み消したとみたが、拘束が失敗に終わり捜査にブレーキがかかった。検察は特別監査班の実績を整理した文書にユ副市長監察の件は最初から含まれなかった事実も提示したが、拘束の必要性を立証するには物足りなかったわけだ。

チョ氏の拘束令状棄却を機に国会で議論中である高位公職者犯罪捜査処(公捜処)設置と検警捜査権調整法案成立の主張が説得力を増す可能性も大きくなった。共に民主党の洪翼杓(ホン・イクピョ)首席報道官は検察がチョ氏に対する令状を請求した直後「チョ氏が責任を回避していないにも検察は侮辱するように拘束令状を請求する意地を見せた」と批判した。

検察はまず拘束令状の棄却理由を分析して再請求するかどうかを検討するという立場だ。ただし、チョ氏に対する拘束令状を再請求するよりは不拘束状態で裁判にかける可能性もあるというのが検察内外の見方だ。

だが、チョ氏の拘束令状を棄却した裁判所をめぐり「公平性に合致しない判決」という批判も提起されている。前政府の要人に対するいわゆる「積弊清算」の過程で職権乱用の疑いが幅広く認められたことと正反対であるためだ。禹柄宇(ウ・ビョンウ)元民情首席、金淇春(キム・ギチュン)元秘書室長、梁承泰(ヤン・スンテ)前大法院長などが拘束された疑いは全部職権乱用だった。