[東京 9日 ロイター] – 財務省が9日発表した国際収支状況速報によると、2020年1月の経常収支は6123億円の黒字となった。黒字は67カ月連続。海外子会社から企業が受け取る配当金が前年から増加して第1次所得収支の黒字幅が拡大、経常収支の黒字幅は前年同月比380億円増えた。 

ロイターが民間調査機関に行った事前調査の予測中央値は6261億円程度の黒字で、予測はわずかに下回った。 

経常収支の内訳をみると、貿易・サービス収支は1兆1478億円の赤字(前年同月比281億円の赤字)。 

第1次所得収支は1兆8476億円の黒字(同841億円の黒字)。企業が受け取る海外子会社からの配当金が増加したことで直接投資収益の押し上げにつながった。直接投資収益は1月単月でみると過去最高を更新した。 

第2次所得収支は875億円の赤字(同180億円の赤字)だった。 

足元では新型肺炎の影響で輸出の減少や訪日客の減少など、さまざまなリスクが懸念される。財務省幹部は「1月の統計では目立った影響は出ていない」と指摘。今後の見通しについて「今後の統計をみないと分からない」としつつ、2月は中国人観光客の数が10分の1に減っているので、影響をしっかりみていきたいと述べた。 

円高が進む中、輸出入の見通しについては、円高で輸出、輸入ともにメリット・デメリットがあるので「現時点で判断は難しい」(同幹部)と指摘した。