持続化給付金の手続き業務を受注している「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」が、2016年の設立直後に経済産業省の補助金事業先に選ばれ、4680万円をもらっていた。経産省が事業先を公募した日と協議会の設立日が重なっているが、経産省は「たまたまの一致」だとしている。

 4日の野党ヒアリングでの経産省の説明などによると、経産省はサービス産業の品質を評価する「おもてなし規格認証事業」について、16年5月16日に請負事業者の公募を始めた。

 協議会も同日、広告大手電通や人材派遣大手パソナなどが関わって設立された。協議会はその後公募に申請した。ほかに申請者はなく、経産省は7月12日に請負事業者に選び、補助金を出すことを決めた。

 この事業では、協議会がレストランやホテルなどのサービス内容を個別に審査し認証を与えていた。審査料や認証料なども取っていたという。事業経費は総額7686万円。協議会はこの一部に補助金を充て、差額分は協議会が負担したというが、詳しい内訳についてはわかっていない。

 業務は電通と子会社の電通国際情報サービスに「外注」されていた。両社への外注金額も明らかにされていない。

 経産省は募集の条件として、営利を目的としないことや公正な運営を挙げていた。有識者による審議で協議会が請負先として妥当だと判断されたというが、経産省は有識者の名前や審議内容を公開していない。

 協議会は、中小企業に最大200万円を出す持続化給付金の業務を769億円で4月に受注した。749億円で業務の大部分を電通に再委託しており、野党議員らは事実上の「丸投げだ」としている。

 協議会はこれまで、経産省から計14件、約1600億円の事業を受注している。4日の野党ヒアリングでは「経産省が電通に発注するために生まれた団体ではないのか」といった指摘もあった。

 安倍晋三首相は4日の参院厚生労働委員会で、協議会が手にする20億円について、15億円以上はみずほ銀行に振込手数料として支払うもので問題ないとの認識を示した。「様々な指摘があるので必要な情報開示を行うことも含め、丁寧な説明をさせたい」とも述べた。

 政府は第2次補正予算案で、持続化給付金の業務の費用として約850億円を追加計上する予定だ。協議会が引きつづき業務を受注する可能性が高い。(伊藤弘毅、新宅あゆみ、三輪さち子)