自民党政調審議会は7日、中国が香港での反体制的な言動を取り締まる「香港国家安全維持法」に対する非難決議を了承した。焦点だった習近平(シーチンピン)国家主席の国賓訪日については「中止を要請する」から「党外交部会・外交調査会として中止を要請せざるを得ない」などに修正。中国と関係が深い二階俊博幹事長らが巻き返し、表現が弱まった。

 外交部会と外交調査会が6日に開いた合同会議では、役員会がまとめた決議案が示された。「中止を要請する」との表現をめぐって紛糾。複数の出席者によると、賛成する意見が多かったものの、二階派議員らが異論を唱え、中山泰秀外交部会長に対応が一任されていた。

 その後、中山氏は二階氏や岸田文雄政調会長らと調整。中止要請については党の総意と受け取られないように「党外交部会・外交調査会として」という断りがつき、中止を要請すると断じていた表現も「中止を要請せざるを得ない」と弱まった。「(日本政府に)新たな時代の友好関係構築に向け、中国側への強い働きかけを要請する」といった日中関係に一定の配慮する内容も盛り込まれた。

 二階氏は7日の党役員会後の記者会見で、「(日中関係は)ここまで来るまでに先人たちの大変な苦労があった。外交は相手のあることで、慎重の上にも慎重に行動すべきものだ」と指摘。さらに「外交部会長か何部会長か知らんが、軽々に判断すべきものではない」と述べ、中山氏ら部会や調査会の動きを批判した。

 菅義偉官房長官は7日の記者会見で、自民党の議論や決議案の影響などには言及を避けた上で「習主席の国賓訪日は具体的な日程調整をする段階ではない。中国との間には様々な懸案が存在しているが、首脳会談などのハイレベルの機会を活用して、主張すべき点はしっかりと主張し、中国側の前向きな対応を強く求めていく」と語った。