• 相場上昇のおかげで企業は何とかやりくりできているとアルトマン氏
  • デフォルトは09年のリセッション時を上回る可能性があるとフィッチ
Edward Altman
Edward Altman Photographer: Daniel Barry/Bloomberg

企業破綻の危険度を測る経営安全性指標として知られる「Zスコア」の考案者、ニューヨーク大学スターン経営大学院のエドワード・アルトマン名誉教授(金融学)は、今年の「メガ倒産」の多発がまだ始まったばかりだと米社債の投資家に警告を発した。

  今年に入り既に米企業30社余りが連邦破産法11条の適用を申請し、その負債額の合計は10億ドル(約1070億円)を上回る。アルトマン氏によれば、新型コロナウイルス感染拡大の下で企業の負債は積み上がり、破産法の適用申請は年内に60件を上回る可能性が高い。

  ブルームバーグが集計したデータによると、今年の世界の社債発行額は過去最高の2兆1000億ドルに達し、発行体のほぼ半分が米企業だ。

  金融刺激策に支えられた3月以降の債券市場の相場上昇のおかげで、新型コロナ危機の下でも借り手は何とかやりくりできているが、多くの企業は避けて通れない債務処理を先送りしているだけだとアルトマン氏らは警鐘を鳴らす。

  フィッチ・レーティングスは、今年の世界全体の社債デフォルト(債務不履行)が、 2009年の世界的なリセッション(景気後退)当時の水準を超える可能性があると予測している。

  アルトマン氏は、企業は本来、08年の金融危機後の銀行のようにレバレッジ解消を行うべきだが、正反対の方向に動いていると指摘。「支払い不能のリスクが高まれば、債務を増やしてはならず、減らす必要がある」と主張した。

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原題:Father of the Z-Score Predicts a Surge in ‘Mega’ Bankruptcies(抜粋)