[香港 31日 ロイター] – 香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は31日会見し、9月6日に予定されていた立法会(議会)の選挙を1年延期すると発表した。新型コロナウイルス感染者数の増加が理由としている。 

次回選挙で過半数議席の獲得を目指していた民主派候補らにとって大きな痛手となる。 

香港政府は30日、民主活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏ら民主派候補12人の立候補資格を取り消している。 

林鄭行政長官は、選挙を1年延期するとしたのみで、新たな日時は示さなかった。またこの決断はここ7カ月間で最も困難なものであったとし、目的は人々の健康を守るためだと強調。「選挙を行えば1日で300万人もの有権者が外出することになり、感染リスクを高めかねない」と説明した。 

社会民主連線(社民連)の呉文遠主席は「中国共産党が新型コロナを隠れみのに利用し、民主派による過半数獲得を阻止しようとしていることは明白だ」と指摘。「中国共産党は大量の立候補を取り消すなど、結果をコントロールできる選挙だけ行おうとしている」と批判した。 

香港のコロナ感染者は、1月以降で3000人超と比較的少ないが、過去10日間では1日当たりの感染者数が3桁で推移している。 

米国は選挙延期について、香港の民主主義を抑圧するものと批判。マクナニー大統領報道官は記者団に対し「選挙の延期で、香港の繁栄の礎となっていた民主化プロセスと自由が損なわれる」と述べた。 

ドイツは香港との犯罪人引き渡し条約を停止すると発表した。 

選挙延期発表の前日に民主派候補12人の立候補資格が取り消されているため、人権団体などは新型ウイルス感染拡大を受け延期を決定したとの当局の説明に疑問を表明。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)の中国ディレクター、ソフィー・リチャードソン氏は、延期が「政治的な緊急事態の収束を狙うもので、公衆衛生上の緊急事態に対応するものではない」とし、「延期により香港の住民が自分たちの政府を選ぶ権利が否定された」と述べた。