【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮に近い韓国北西部、延坪島(ヨンピョンド)の周辺海域で違法漁業の取り締まりをしていて行方不明になった漁業指導員の40代の男性が北朝鮮に銃撃され、死亡していたと、韓国の聯合ニュースが23日、複数の韓国政府当局者の話として報じた。

 男性は韓国海洋水産省所属の漁業指導船の船員で、21日、船に乗って業務中に行方不明となった。韓国当局の説明では、北朝鮮に渡ろうとして海を漂流後、北朝鮮側に遠距離から射撃されたとされる。北朝鮮は男性の遺体を回収し、既に火葬したとしている。

 韓国当局が詳しい経緯の確認を急いでいるが、北朝鮮は6月に韓国との通信回線を遮断しており、確認が難航しているもようだ。

 韓国当局は、北朝鮮が遺体を即座に火葬した背景には、新型コロナウイルスの防疫措置の厳格化があるとみている。