[22日 ロイター] – トランプ米政権は、航空宇宙分野などの中国企業89社について、軍に関連しているとして、米国の製品や技術の購入を制限することを検討している。米商務省が策定した規制案と、対象企業リスト案をロイターが確認した。
この草案には、ロシア企業28社もリストアップされ、合計すると117社となる。リストアップはまだ途中で、117社の選定は第一段階としている。
トランプ米政権は数カ月前から中国への圧力を強めており、今月12日には、中国軍が所有または支配していると見なされる中国企業への投資を禁止する大統領令を発表した。
このリストが公表されれば、米中の緊張が一層高まり、航空機分野など中国と取引がある米企業には打撃となる可能性がある。
米商務省の報道官はコメントを差し控えた。中国外務省に取材したが、現時点でコメントは得られていない。
米商務省は、軍関連の中国およびロシアの企業を特定し、これらの企業に米企業が部品などを供給する場合は政府にライセンスの申請を義務付ける規則案を策定した。規則案によると、その申請は、却下される可能性の方が大きいという。
規則案に含まれるリストには、ボーイングやエアバスを追う中国の取り組みを代表する中国商用飛機有限責任公司(COMAC)や、中国航空工業集団(AVIC)とその関連企業10社が入っている。ロシア企業では、航空機メーカーのイルクートが含まれる。
ワシントンの通商関連弁護士で元商務省の当局者のケビン・ウルフ氏によると、商務省は規則案を産業の代表者らの技術的助言委員会に開示したが、それは機密扱いになっている。
ロイターが確認したルール案で、商務省は、米国の技術がリストアップした企業にわたるのを管理するのは「国家の安全保障上の利益を守る上で不可欠」と説明している。
しかし、元米当局者は「ただリストを作成し実施するのは挑発的行為」と指摘。航空宇宙業界関係者は、中国の報復行動をあおる可能性があると述べた。