井美奈子
高市首相(自民党総裁)は12日の自民党大会で、憲法改正や皇位の安定継承、強い経済の構築など「高市カラー」の政策を積極的に前に進める姿勢を鮮明にした。2月の衆院選で大勝し、世論の圧倒的な支持を得たとの手応えが背景にある。参院では少数与党の状況が変わっておらず、党内からは連立拡大を求める声も上がった。(井美奈子)
自民党大会で演説する高市首相(12日、東京都港区で)=米山要撮影

「衆院選において国論を二分する政策を掲げ、過去最多の議席を得た。国民から『重要な政策転換を何としてもやり抜け』と力強く背中を押していただけた」
首相は党大会でこう述べ、自身が重視する保守的政策の実現や積極財政の推進を図る意欲を前面に打ち出した。
党大会での首相の演説は約20分間行われた。憲法改正を巡り、首相は「政治家が国民の負託に応えるために行うべきなのは、決断のための議論だ」と語り、国会での議論を前進させる考えを示した。皇族数の減少を受けた皇位の安定継承策では、養子縁組で旧皇族の男系男子を皇族に迎える皇室典範改正を訴え、「男系で皇統が継承されてきた歴史的事実こそ天皇の権威と正統性の源だ」と指摘した。

経済成長による「強い経済」の構築に向けては、「圧倒的に足りないのは国内投資だ。為替変動にも強い経済構造の構築促進に徹底的なテコ入れをする」と強調した。衆院選の公約実現を重ねることで、来年の統一地方選や再来年の参院選に勝ち抜くとも誓った。
党大会には国会議員や党員ら約2100人が出席し、衆院選圧勝への記憶も色濃い中で高揚感も漂った。党幹部からは「明るい雰囲気に包まれて、前向きな姿勢が共有できた」(小林政調会長)といった声が相次ぎ、来賓であいさつした日本維新の会の吉村代表(大阪府知事)も「パワーの根源は高市首相だ」と持ち上げた。
もっとも、参院で与党は依然として過半数を確保できておらず、重要法案が参院で否決される可能性がある状況は解消されていない。自民の鈴木幹事長は党大会後、記者団に「政権基盤安定のため、さらなる協力を連立という形で整える思いもある」と述べ、連立拡大の必要性に言及した。
党内には、鈴木氏の発言は国民民主党を念頭に置いたものとの見方がある。自民は国民民主との連立を模索してきた経緯があり、党幹部の一人は「国民民主との連立というゴールを変える必要はない」と語った。