[ジュネーブ/ワシントン 15日 ロイター] – 世界貿易機関(WTO)は15日、一般理事会をオンライン形式で開き、ナイジェリアのヌゴジ・オコンジョイウェアラ元財務相を次期事務局長に全会一致で選出した。初の女性事務局長となる。

米国のデビッド・ビスビー在ジュネーブ代理公使はオコンジョイウェアラ氏の選出を歓迎。「米政府はオコンジョイウェアラ氏と緊密に連携する。米国は建設的なパートナーになる」と表明した。

中国商務省は声明で、オコンジョイウェアラ氏の次期事務局長就任を受け、WTOは必要な改革を実施し、多国主義的な通商システムを推し進められるとし、WTOの運営正常化に期待を示した。

オコンジョイウェアラ氏はロイターのインタビューに対し、各国が新型コロナウイルスワクチンを奪い合う「ワクチンナショナリズム」でパンデミック(世界的大流行)の収束が遅れる恐れがあると警告。「パンデミック収束に向けWTOが貢献できることは多い」とし、「新型コロナ変異株が出現する中、ワクチンナショナリズムは割りに合わない。他の国でワクチン接種が進まなければ、感染は再び拡大する」と述べた。

その上で、貧困国が速やかに自国民にワクチンを接種できなければ世界経済は9兆ドルの損失を被ると指摘。この半分が高所得国が負担することになると述べた。

このほか、WTO加盟国間で明らかに見解の相違があると指摘。ただ、米国のバイデン政権がこれまでとはトーンを変えていることなどで、進展は得られると期待を示した。