今朝、ニュースをみて気になった言葉、それはタイトルにもある「リフレ取引」だ。一言で言えば緩やかなインフレを先取りした国債など債券のディールのことを指す。株式も対象になるが、金利との関係が強い債券売買のことを主に指している。ブルームバーグによると、ここ3週間で米国債の利回りが約30ベーシスポイント(bp、1bp=0.001%)上昇しているそうだ(上昇率0.3%)。機関投資家が国債を売却し、それが国債の利回りを押し上げている。なぜ売るのか?理由は簡単、パンデミック対策として実施されている巨額の財政支出によって物価に上昇の兆しが出ているからである。これを受けて株式も売りが先行していたが、23日と24日に実施されたFRBのパウエル議長の議会証言で「雇用の回復と物価の上昇にはまだ時間がかる」との発言があり、これを受けてNYダウが急騰した。債券市場と議長の見通しの間にはカイ離があるが、株式市場は議長の見解を好感したということのようだ。

どちらが正しいかわからない。債券市場は金利が近い将来上昇すると予測して米国債を売っている。これに対してパウエル議長が金利は上昇しないと強調した。真逆である。金利は上昇しないとの見方はバイデン政権の基本的なスタンスでもある。1.9兆ドルのパンデミック対策に加え、インフラ投資など巨大な財政出動の計画がすでに水面下で動き出している。下院は過半数、上院は50対50だがハリス副大統領が賛成すれば、民主党は全ての法案を可決できる。ディーズ国家経済会議(NEC)委員長はきのう、バイデン政権は経済対策案のスピードや規模において妥協しないと述べた。政権の強行突破の姿勢は変わらない。イエレン新財務長官も「いまこそ大きく動くべきだ」と積極財政を強烈に支援している。こうなればリフレ取引など成立する余地はないように見えるが、長期国債の利回り上昇は一向にピークアウトする気配がない。一体どっちの言い分が正しいのだろうか。

もう一つ不確定要素がある。バイデン民主党も党内は一枚岩ではないことだ。大統領が行政管理予算局(OMB)の局長に指名したニーラ・タンデン氏の指名承認が難航している。民主党の議員(1人)がこの人事に反対を表明しており、承認のメドが立っていない。上院でかろうじて多数派を維持している民主党にとって人事の行方は気になるところ。ひとつ間違えれば政策全般に影響を及ぼしかねない。それが物価にどんな影響を与えるか誰にもわからない。ことほどさように物価や金利を取り巻く環境は複雑怪奇。そんな中、ワクチン接種の進展でパンデミック収束の期待感も日増しに強まっている。結局リフレは始まるのか始まらないのか、誰にもわからない。だが、主流派(政権+FRB)も元々はリフレ派。そして見解が多少異なるとはいえリフレ取引派は主流派と同調している。どっちが追いかけているかわからないが、結局は「ちびくろサンボ」、ぐるぐる回ってバターになる。