売却益や配当が非課税になる「少額投資非課税制度」(NISA)や「つみたてNISA」について、立憲民主党の江田憲司代表代行が28日夜、BS番組で、同党が掲げる金融所得課税の強化の流れで、NISAへの課税も「同様にかけます」と発言した。江田氏はその後、謝罪したほか、枝野幸男代表も「課税を強化するつもりは全くない」と釈明に追われた。

 江田氏は28日のBSフジの番組で、党が主張している金融所得課税強化の議論のなかで、司会者から「低所得者や中所得者が積み立て、運用している部分に対して同じように30(%の課税を)かけるのか」と聞かれ、「同じようにかけます」と答えた。米国などと比較して「過大なことではない」などと発言した。

 江田氏は党の経済政策調査会の会長で経済政策の責任者。立憲は「再分配」の一環として富裕層への課税を強調していただけに、江田氏の発言に対し、ネット上では「中間層のサラリーマン投資家を狙い撃ちにしているのか」などと批判が相次いだ。

 江田氏は29日午前、自身のフェイスブックで「課税しようという趣旨ではない」とした上で、「舌足らずの発言で誤解を生じたことについては深くおわびする」と謝罪した。また29日午後のTBSのラジオ番組で「(司会者との間に)ついたてがあり、質問を誤解した。聞き間違えた」とも語った。

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 枝野氏も29日午前、自身のツイッターで「一部幹部の発言が誤解を招いていますが、立憲民主党は、将来不安解消の観点から、NISAやつみたてNISAについて、制度拡充を訴えています。課税強化は考えておりません」と釈明。

 続けて「ご参考」として、政策集からNISAの部分を抜粋して「〇若者世代にとって深刻な老後の不安の解消のための選択肢として、NISA、つみたてNISA等を拡充します」と書き込んだ。

 さらに、枝野氏は同日、苫小牧市で記者団に「中低所得者の安心のため、NISAはむしろ(優遇策を)強化していきたい」と訴えた。

 共産党の志位和夫委員長はツイッターで「NISAは非課税のまま課税しない」と党の方針を説明。国民民主の玉木雄一郎代表も「むしろ非課税枠はもっと拡充すべきだ」と投稿した。