米国防総省高官は25日、ロシア軍によるウクライナの首都キエフへの侵攻が「当初の計画通りには進んでいない」との分析を記者団に明かした。ウクライナ軍の激しい抵抗にあっており、侵攻のスピードが減速しているという。

 高官によると、ロシア軍は米東部時間で23日夜の侵攻開始から25日午前までに200発以上のミサイルを発射。一部は住宅地などにも着弾している。ロシア国防省はウクライナ軍のミサイル防衛(MD)システムを無力化したと発表しているが、高官は「MDシステムは機能しており、すべての制空権がロシア側に奪われたわけではない」と語った。

 米政府は、ロシア軍はウクライナ国境周辺に最大で19万人の軍部隊を集結させていたとみている。高官によると、そのうち3分の1程度の戦力が攻撃に投入されているという。戦況によっては追加投入される可能性もある。

 ロシア軍とウクライナ軍はキエフのほか、北東部ハリコフ、南部ヘルソンの3都市を中心に激しい攻防を続けている。高官は「ロシア軍はいまだ人口密集地は占拠していない」と説明した。【ワシントン鈴木一生】