[ニューヨーク/ロンドン 21日 ロイター] – ニューヨーク外為市場では円が対ドルで下落し、1998年10月以来の安値を更新した。日銀が金融緩和を維持する姿勢を示す一方、米連邦準備理事会(FRB)は積極的な金融引き締め策を推進する見通しで、日米金利差拡大が注目された。

円は一時、24年ぶりの安値となる136.455円を付けた。終盤の取引では136.20円で推移した。

円は対ユーロでも1.3%安の143.78円と、6月9日以来の安値を付けた。

ミズホのシニアエコノミスト、コリン・アッシャー氏は「ドルが過去の高値である135.60円を突破したことで、ストップロスを誘発し、136円を超える展開となった」と指摘。「理由はこれまでの動きと同じだ。FRBが(引き締め)ペースを加速させる一方、日銀はG10の中で最後に利上げに動き、金利差は拡大する見通しだ」と述べた。

日銀は16─17日に開いた金融政策決定会合で、現行の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)付き量的・質的金融緩和政策の継続を賛成多数で決めた。また、10年物国債金利0.25%での指し値オペを原則毎営業日実施すると改めて表明した。

岸田文雄首相は21日の党首討論で、日銀の金融政策の影響は為替だけでなく中小零細企業や住宅ローン、景気にも及ぶため総合的に見る必要があると指摘し、円安を是正するため政策を変更する必要はないとの見解を示した。

ドル指数はほぼ変わらずの104.41。

米リッチモンド地区連銀のバーキン総裁は21日、FRBが7月に政策金利を50ベーシスポイント(bp)もしくは75bp引き上げる公算が大きいとするパウエルFRB議長のガイダンスについて「かなり理にかなっている」という見解を示した。

ただ、朝方発表された5月の米中古住宅販売戸数が2020年6月以来、約2年ぶりの低水準となったことを受け、ドルは一時下落する場面もあった。

ユーロ/ドルは0.2%高の1.0529ドル。欧州中央銀行(ECB)のレーン専務理事兼チーフエコノミストが20日、ECBは7月21日の理事会で25bp利上げを決定する方針を再検討することはないと述べたことが材料視された。

ポンド/ドルも0.4%高の1.2290ドル。イングランド銀行(英中央銀行)のチーフエコノミスト、ヒュー・ピル氏は21日、金融政策では為替レートや経済活動の安定ではなく、主たる目標であるインフレ抑制を重視すべきだと述べた。