ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる22日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア ハンシク州完全掌握目指し攻勢を強めるも多くの人的被害

ロシア軍はウクライナ東部ルハンシク州を近く、完全掌握しようと、ウクライナ側の拠点、セベロドネツクなどに対して攻勢を強めています。一方、戦況を分析するイギリス国防省は、親ロシア派の武装勢力に多くの人的被害が出ていると指摘し、ウクライナ側が激しい抵抗を続けていることもうかがえます。

ロシアはウクライナ東部ルハンシク州の完全掌握を目指し、ウクライナ側の拠点、セベロドネツクなどへの攻撃を続け、ウクライナ側は、ロシア軍が6月26日までにルハンシク州の全域を掌握する目標を設定したという見方を示し、警戒を強めています。

イギリス国防省は22日に発表した分析で、ロシア軍がセベロドネツクに対して、北側のイジューム方面と南側のポパスナ方面から包囲しようと、激しい砲撃を続けていると指摘しています。

一方でイギリス国防省は、▼ロシア軍はことし3月25日以降、軍の死傷者数を公表していないものの、▼東部ドネツク州の親ロシア派の武装勢力は、今月16日の時点で、2128人の兵士が死亡し、8897人がけがをしたことを認めたとしています。その上で「死傷率は、およそ55%に相当し、東部ドンバス地域でロシア軍と親ロシア派の兵員が減少していることを浮き彫りにしている。親ロシア派の武装勢力は、旧式の兵器を装備している可能性が高い」と分析し、ウクライナ側が激しい抵抗を続け、ロシア側に多くの人的被害が出ていることもうかがえます。

東部で、ロシア軍が攻勢を強める一方、南部では、ウクライナ軍が反転攻勢に乗り出そうとしています。21日、ウクライナ軍は、ロシア軍がことし2月に占拠した黒海の島、ズミイヌイ島について「さまざまな方法で攻撃を加え、甚大な被害を与えた」とSNSに投稿しました。ズミイヌイ島は、南部オデーサ州の沖合の島でロシア軍が攻撃の拠点のひとつとしている、海上の戦略的要衝です。

イギリス国防省は、ウクライナ軍が、欧米から供与された対艦ミサイル「ハープーン」でズミイヌイ島に武器などを運搬していたロシア軍のタグボートへの攻撃に成功したと、21日、指摘していて、ロシア軍とウクライナ軍の激しい攻防は、黒海の海上でも続いています。

プーチン大統領側近「リトアニアに深刻な悪影響」

ロシアのプーチン大統領の最側近の1人、パトルシェフ安全保障会議書記は21日、ロシアの飛び地、カリーニングラードで、国家の安全保障問題を話し合う会議を緊急に開きました。

この中でパトルシェフ書記は、リトアニアが、EU=ヨーロッパ連合の制裁措置に従って、自国を通過する鉄道貨物輸送の制限を始めたことについて「国際法の原則に反し、カリーニングラードへの大量の物資を封鎖した」と批判しました。

その上で「ロシアは、このような敵対的な行為に明確に対応する。適切な措置が検討されており、近く実施されるだろう。その結果は、リトアニアの国民に深刻な悪影響を与えることになる」と述べ、対抗措置をとる構えを示しました。

また、パトルシェフ書記は、北欧のフィンランドとスウェーデンの、NATO=北大西洋条約機構への加盟申請について「新たな脅威が生じており、国境の防衛のために追加措置が必要だ」と述べ、ロシア北西部の国境警備を強化する考えを示しました。

ロシアで最も西に位置するカリーニングラードは、ロシア海軍がバルト艦隊の司令部を置く戦略拠点です。

パトルシェフ書記は治安機関出身で、プーチン政権を支える強硬派の中でも代表格の1人とされていて、カリーニングラードに直接出向き、警告を発することで、このあと首脳会議を控えるEUやNATOに揺さぶりをかけるねらいもあるものとみられます。

北方領土の貝殻島周辺でのコンブ漁 3週間遅れて始まる

北方領土の貝殻島周辺でのコンブ漁が、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で例年より3週間遅れて22日から始まりました。22日朝、北海道根室市の納沙布岬の沖合に集まった220隻の漁船は、午前6時に漁の始まりを知らせる白い旗が振られると、一斉に漁場に向かいました。

北方領土の貝殻島周辺で行われるコンブ漁は、日本とロシアの民間交渉で決まった操業条件に基づいて、例年、6月1日に解禁されています。しかし、ことしはロシアによるウクライナ侵攻の影響で交渉の開始が大幅に遅れ、解禁日を過ぎた6月3日に妥結しました。その後も操業に必要な準備を整えるために時間を要し、22日、例年より3週間遅れて漁が始まりました。

それぞれの漁船はおよそ4時間にわたってコンブを採取したあと、根室市内の漁港に戻り、次々と水揚げしました。コンブ漁業者の佐藤祥史さんは「期待していたよりコンブの量は少なかったが、出漁できて安心した。ことしは遅れて始まった分、回数を多く出ることができれば」と話していました。

地元の漁協では、日ロ関係の悪化を受けて、漁船が安全に操業できるよう監視する船を例年の1隻から3隻に増やしました。貝殻島周辺のコンブ漁は9月末まで行われます。

日本とロシアとの協定に基づいて行われる漁をめぐっては、ウクライナ侵攻の影響でサケ・マスをめぐる交渉も例年より遅れたほか、北方四島の周辺海域の「安全操業」についてはロシア側が協定の履行を停止すると発表し、現場に不安が広がっています。

リトアニア ロシアと“飛び地” 結ぶ鉄道貨物輸送を制限

ロイター通信などによりますと、バルト3国の1つでNATO=北大西洋条約機構に加盟している、リトアニアは、EUの制裁対象の貨物を積んだ列車について、ロシア本土からカリーニングラードへの乗り入れを禁止すると発表しました。

カリーニングラードは、リトアニアとポーランドに囲まれたロシアで最も西に位置するいわゆる「飛び地」でリトアニアを経由しなければ、列車でロシアから荷物を搬入することは出来ません。

これに対してカリーニングラードのアリハノフ知事は、対象となるのは石炭や金属、建設資材などで、運ばれる貨物の最大50%が影響を受ける可能性があると反発しています。

また、ロシア政府も強く反発していて、大統領府のペスコフ報道官は20日、記者団に対し「前例がなく、違法だ」と述べ、ロシア外務省はリトアニア大使館の代表者に抗議を行うとともに、対抗措置も辞さない考えを示唆しました。

一方、AP通信などによりますと、リトアニア政府はEUの制裁に沿った措置だとしていて、EUのボレル上級代表も20日、「封鎖ではない。商品の輸送は続いている」としています。ロシア当局はバルト海を経由した海上輸送などを強化する方針ですが、EU=ヨーロッパ連合とロシアの間で緊張がさらに高まることが懸念されます。

ウクライナ 「ズミイヌイ島攻撃 甚大な被害与えた」

ウクライナ軍は21日、ロシア軍がことし2月に占拠した黒海の島、ズミイヌイ島について、「さまざまな方法で攻撃を加え甚大な被害を与えた」とSNSに投稿しました。

ズミイヌイ島はウクライナ南部の南部オデーサ州の沖合の島でロシア軍が攻撃の拠点の一つとしている海上の戦略的な要衝です。

人工衛星を運用するアメリカの企業「マクサー・テクノロジーズ」は、22日、ズミイヌイ島を6月17日と21日に撮影した衛星画像を公開しました。

21日に撮影された衛星写真には、島の北部や、中部、そして南部の3か所で地面が黒く焦げたようなあとが確認できます。

17日に撮影された衛星写真には、地面が黒く焦げたようなあとは確認されないため、この期間にウクライナ軍による攻撃があったものとみられます。

また、イギリス国防省は21日、ウクライナ軍が欧米から供与された対艦ミサイルでズミイヌイ島に武器などを運搬していたロシア軍のタグボート1隻への攻撃に成功したと発表しています。

黒海海上の要衝を巡りロシア軍とウクライナ軍との間で激しい攻防が続いています。

欧州 石炭火力発電 拡大の動き ロシアの天然ガス供給減受け

脱炭素社会の実現のため、石炭火力発電からの脱却に取り組んできたヨーロッパで、ロシアからの天然ガスの供給が減っていることを受け、石炭火力発電を一時的に拡大させる動きが出ています。

ロシア最大の政府系ガス会社ガスプロムは今月15日、ドイツ向けの主要なパイプラインを通して供給する天然ガスの量をおよそ60%減らすと発表し、ドイツだけでなく、パイプラインでつながるヨーロッパ各国で警戒感が高まっています。

こうした中、ドイツ政府は19日、暖房需要が高まる冬場に向けガスの貯蔵を増やすため、発電用のガスを減らして石炭火力発電を一時的に拡大する方針を示しました。

エネルギー政策を担当し、環境政策を重視する政党、「緑の党」の前の党首でもあるハーベック経済・気候保護相は、声明で「悔しいことだがガスの消費を減らすには必要なことだ」と、国民に理解を求めています。

また、オランダ政府も20日、これまで制限していた石炭火力発電所の運転についてフル稼働を認める方針を発表しました。

さらにオーストリア政府も必要があればすでに閉鎖した石炭火力発電所を再稼働する方針を決めたほか、フランス政府も、年内に廃止する予定の石炭火力発電所2基の稼働延長を検討していることを明らかにしています。

核兵器禁止条約 初の締約国会議 核の脅威高まり 危機感示す

オーストリアで始まった核兵器禁止条約の初めての締約国会議では、初日、多くの締約国がロシアによるウクライナへの軍事侵攻で核の脅威が高まっていることに強い危機感を示し、核兵器廃絶を目指す条約の意義を強調しました。
核兵器の所有や使用などを禁じる核兵器禁止条約の初めての締約国会議は、日本時間の21日午後からオーストリアの首都ウィーンで始まりました。

冒頭、議長を務めるオーストリア外務省のクメント局長は「核をめぐるあらゆる議論が間違った方向に進んでいる」と述べ、核兵器が使われる脅威や各国で核抑止の議論が高まっていることへの警戒感を示しました。

続いて締約国の演説が行われ、このうちニュージーランドの代表は「核兵器を使用するというプーチン大統領の脅しは、われわれを再び核の大惨事の瀬戸際に追いやっている」と述べるなど、ほとんどの国がロシアによるウクライナへの軍事侵攻で核の脅威が高まっている現状に危機感を示し、核兵器廃絶を目指す条約の意義を強調しました。

核兵器禁止条約とは

米の司法長官「隠れる場所などない」

アメリカのガーランド司法長官は21日、ウクライナ西部のリビウ近郊を訪れ、ベネディクトワ検事総長と会談しロシアの戦争犯罪を追及するため、証拠の収集や分析などでウクライナを支援する特別なチームを設置したことを伝えました。

そして、ガーランド長官は、ベネディクトワ検事総長とともに記者団の取材に応じ「アメリカは戦争犯罪を行った者には『隠れる場所などない』という明白なメッセージを送る。我々とそのパートナーは、残虐行為を行った者は責任をとることになるということを明確にするため、あらゆる方法を模索する」と述べました。

プーチン大統領「兵力の構成をより完全なものに」

ロシアのプーチン大統領は21日、クレムリンで開かれた国防省や連邦保安庁などの高等教育機関の修了式で演説し「現代の武力紛争の教訓を生かして、その兵力の構成をより完全なものにしていく」と述べました。そして新型の地対空ミサイルシステム「S500」や大陸間弾道ミサイル「サルマト」を年内に実戦配備する考えを明らかにしました。

また、卒業生たちに向かって「学んだ理論や知識は実務経験を積んでこそ生かせることを忘れてはならない」と述べ、軍事侵攻を続けるウクライナに派遣される可能性にも言及しました。

ロシア ウクライナ東部攻勢強める 南部に報復攻撃も

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアは東部ルハンシク州の完全掌握を目指し攻勢を強めるとともに、ロシアの石油ガス会社の施設が攻撃を受けた報復として南部オデーサ州にあるウクライナ軍の施設を破壊したと発表するなど、各地で攻撃を続けています。
ロシアはウクライナ東部ルハンシク州の完全掌握を目指し、ウクライナ側の拠点、セベロドネツクなどへの攻撃を続けています。
ルハンシク州のハイダイ知事は、大部分がロシア軍に掌握されていると先に明らかにしたセベロドネツクの状況について、21日、SNSで近くの集落がさらに占領されたと述べたほか、ロシア軍は川を挟んで隣接するリシチャンシクへも激しく砲撃していると批判しています。

一方、ロシア国防省は21日、ウクライナ南部のオデーサ州にあるウクライナ軍の飛行場をミサイルで攻撃し、無人攻撃機の格納施設などを破壊したと発表しました。
この攻撃についてロシア国防省は、黒海にあるロシアの石油ガス会社の施設が20日、ウクライナ軍の無人攻撃機などにより攻撃を受けたことに対する報復だとしています。