[キーウ(キエフ)/ウィーン 6日 ロイター] – 国際原子力機関(IAEA)は6日、ロシア軍が占拠するウクライナ南部のザポロジエ原子力発電所に関する報告書を発表し、核燃料や放射性廃棄物の貯蔵施設など複数の建物に大規模な損傷を確認したと指摘した。

報告書によると、査察団は核燃料貯蔵用の建物や放射性廃棄物の保管施設、警報システムを収容する建物などに損傷を発見。また、原発の安全な運用に不可欠な外部からの電力供給が数回にわたって遮断されたことも指摘した。

ロシアとウクライナは、同原発に対する攻撃について互いに相手方が行ったと非難し合っている。報告書は責任の所在に触れていない。

報告書は、これまでのところ、攻撃は原子力緊急事態を引き起こしてはいないとしながらも、原子力の安全に対する継続的な脅威であり、重大事故を引き起こす可能性があるとした。

この状況は維持不能だと指摘した上で「IAEAは、原発と関連施設へのさらなる被害を避けるため、周辺での砲撃を直ちに停止するよう勧告する」とし、早急に周辺に安全区域を設定するよう提案。そのためには全ての関係者の合意が必要だと述べた。

さらに査察団は、原発内でロシア軍とその設備を発見したとも指摘した。タービン建屋に軍用車両が駐車されるなどしていたという。ロシア政府は原発を盾にしたとの指摘を否定し、原発を警備する部隊は駐在しているとしている。

また、発電所を運営しているウクライナ人スタッフの労働環境について「常に高いストレスとプレッシャーにさらされている。これは持続可能ではなく、原子力の安全性に影響を与えるヒューマンエラーの増加につながる可能性がある」と指摘した。