• ポンドはドルに対し2%超える上昇、30年債利回り46bp低下
  • 来年の法人税率引き上げ凍結案など、さらに多くの撤回を検討
Britain’s Prime Minister Liz Truss Photographer: OLI SCARFF/AFP

英国のクワーテング財務相は13日、自身の経済戦略を堅持する姿勢を示し、「どこにも行かない」と言明した。財務相が先月発表した大型減税案を巡っては、撤回を求める圧力が強まっている。

  クワーテング氏は国際通貨基金(IMF)の会合出席のため訪問したワシントンでテレビの代表取材に応じ、「われわれの立場は変わっていない」と発言。「われわれは成長戦略の実現に完全に集中している」と続けた。

  非公開の協議だとして関係者が匿名を条件に述べたところによると、英当局者らは内部でトラス首相の大型減税計画をどのように方向転換すべきか協議。首相府と財務省の当局者らは首相に提示する選択肢の草案を作成している。

  最終決定はなされておらず、クワーテング氏がワシントンから戻るのを待っていると、関係者は語った。同氏の大型減税案には財源の裏付けがなく、金融市場と与党保守党内から経済的信頼性の回復を求める圧力が高まっていた。

  方向転換に向け作業していると報じられた後、ポンドはドルに対し2%余り上昇し、1ポンド=1.13ドルを突破。国債相場は上げを広げ、30年債利回りは一時46bp低下の4.36%となった。

ポンドと英国債が急伸、英国が減税案の方向転換で作業と関係者

  撤回が検討されている一つは、来年の法人税率引き上げ凍結案。保守党の前政権が打ち出した戦略の下、法人税率は来年4月に25%と現行の19%から上昇することになっていたが、この引き上げを凍結するのがクワーテング氏が9月23日に発表した財政パッケージの一つの柱だった。

  しかし同パッケージは市場を揺るがし、ポンドはドルに対して過去最安値を付け、イングランド銀行(中央銀行)は債券市場の崩壊を防ぐため介入を余儀なくされた。英財政研究所(IFS)は政府の財源不足を600億ポンド(約9兆9000億円)と見積もった。

  政権は既に、減税案の中で示した所得税の最高税率引き下げを撤回したが、法人税などさらに多くの方向転換を迫られている。

原題:Kwarteng Sticks to Tax Plan Saying He’s ‘Not Going Anywhere’ (1)
UK Officials Are Working on a U-Turn for Truss Tax-Cut Plan (1)
UK Officials Are Working on a U-Turn for Truss’s Tax-Cut Plan(抜粋)