[ワシントン 19日 ロイター] – バイデン米大統領は19日、年内に戦略石油備蓄(SPR)から1500万バレルを追加放出し、備蓄の補充を開始する計画を発表した。米中間選挙が11月8日に迫る中、ガソリン価格抑制に取り組む構えを鮮明にした。

計画では、石油価格の高騰を防ぐために十分な供給量を確保すると同時に、価格が過度に急落するような場合には、政府が買い手として市場に介入する。

バイデン大統領は「他国の行動によって変動が引き起こされている時期に、われわれは引き続き市場を安定させ、価格を押し下げる」と言明した。

バイデン氏は、ロシアのプーチン大統領によるウクライナ侵攻が原油とガソリンの価格上昇につながったと非難。価格が今年初めのピーク時から30%下落したとしつつも、価格は「十分に速いペースでは下落していない」とし、「ガソリン価格は家計を圧迫している」と述べた。

石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」が今月、日量200万バレル減産で合意したことで、ガソリン価格高騰に拍車がかかるという懸念も出ていた。

1500万バレルの売却は、今年5月に開始した1億8000万バレルのSPR放出の一環。

政府は当初、11月に放出枠からの売却を終える予定だったが、夏場に石油各社による買い付けが予想より鈍り、1500万バレル程度が未売却のままとなっている。政権高官によると、未売却分は12月に引き渡せるよう入札にかけられる見通し。

バイデン氏は、価格抑制のため来年早期にも追加放出を行う用意があると述べた。

米政府の現在の備蓄量は4億バレル強で、1984年以来の低水準にある。バイデン氏は「緊急に取り崩しが必要になっても十分だ」と述べた。

今後数年間で備蓄を補充する方針も示した。ホワイトハウスによると、原油価格が1バレル=67─72ドル以下に下落した際に、政府が購入に動く見通しという。

バイデン氏は、政府が買い戻しを表明することで、石油会社は安心して生産への投資を行うことができるはずだと指摘。「石油会社は記録的な利益を上げている。われわれは確実性を提供しており、石油会社は増産に向けてすぐに行動することが可能だ」と述べた。