C O P27を含め先週末に一連の国際会議が終了した。「特別軍事作戦」と称したプーチンのウクライナ侵略、非常で異常な事態の中で開催された国際会議。世界中の指導者がインドネシアやタイに集まって対面形式で会議を行った。まさに鳩首会議だ。期待されたのは現下の緊迫した国際情勢の打開策だが、得られた結論は各国首脳のメンツを保つための方策だった。ロシアのミサイル攻撃によってウクライナでは1000万人を超える市民が暖房のない生活を強いられている。だがロシア、中国、イラン、北朝鮮という一部の指導者が牛耳る強権国家に対し、自由と民主主義を建前に対抗する西側陣営、これまでの強固な結束にも綻びが見え始めている。東西対立に根差した冷戦構造から、対立軸は明らかに“戦争”へ向かいつつある。平和を追求すべき国際会議。西側陣営にとっては何らかの打開策を見出したいところだが、強権国家の前になすすべがないようにみえる。

11月6日に開幕したC O P27を皮切りに先週は東アジアサミット(A S E A N +域外国)、G20、A P E Cと国際会議が重なった。ウクライ戦争をはじめ世界的な物価高、カーボンニュートラルの停滞、食糧危機に北朝鮮の相次ぐミサイルの発射など、国際社会は極度の緊張感に覆われている。そんな中で開催された一連の国際会議で各国首脳は何を話し合い、どんな結論を得たのだろうか。バイデン大統領、習近平主席をはじめ世界の指導者が時に笑顔を振り撒きながら、あるいは渋面を取り繕いなが首脳会談に望んだ姿がメディアを通して報道された。米中首脳会談に臨んだバイデン大統領のこぼれ落ちそうな満面の笑みが、今でも強く印象に残っている。ああいう映像を見ると「そんなに習近平に会いたかったの」、皮肉の一つも言いたくなる。国際会議に集った世界の指導者はどのように指導力を発揮しようとしたのか、そんな姿はほとんど見なかった気がする。

G20は「ほとんどのメンバーがウクライナでの戦争を強く非難した」という文言に「他の見解や異なる評価もあった」との一文を挿入することで、全会一致で共同声明をまとめ上げた。この声明に一体どんな意味があるのだろうか。地球の将来を担っているC O P27は会期を延長して徹夜の交渉の末、「損害と被害」に関する基金創設でかろうじて合意した。だが基金の詳細は次回会合以降に持ち越されている。ウクライナ戦争の終息やインフレの沈静化、脱炭素化など緊急を要する課題はいずれも後回し。国際会議のテンポはあまりにもぬるい。それ以上に各国の指導者のメンツを保つこと以外に解決策のない国際会議の現状はあまりにも貧そ。APECの議長を務めたタイのプラユット首相は閉会後の記者会見で、「会議は全参加国・地域にとって成功だった」と強調した。タイの責任ではないが、「成功」を強調するしかない現状そのものが危機的でもある。