今日からブラックフライデーがはじまる。スマホにこれに関連したCMが嫌というほど届く。たとえばAmazon。数十万点以上の商品を対象にセールが実施される。期間は11月25日00:00から12月1日23:59まで。一週間にわたるビックセールだ。個人的にはほとんど興味がない。理由は簡単、特に買いたいものがないからだ。それでも、どうしてこれをブラックと呼ぶのか、だいぶ前から気になっていた。例によってGoogleで調べてみた。以下の説明があった。「Black Fridayは米国で毎年11月の第4木曜日に行われる感謝祭の翌日の金曜日のことです。 感謝祭の翌日からクリスマスセールが始まり、百貨店をはじめ小売店が黒字になることにちなんで『ブラックフライデー』と呼ばれるようになりました」。なるほどそういうことか。バレンタインやホワイトデーと一緒だ。消費者が気前よく財布の紐を開くというわけだ。

ブラックフライデーの動向が景気指標にもなっている。そういう目で見れば多少気になる。昨日政府が発表した11月の月例経済報告によると、景気は「緩やかに持ち直している」とある。ただしこの表現は4カ月連続同じ。持ち直した状態が4カ月連続続けば、そろそろ回復と言っていい様なものだが、そこは相変わらずの“官僚文学”。実態と景気判断はほとんど関係なのだ。景気回復と言ってしまえば、莫大な規模の補正予算は必要なのか、政府批判がすぐに沸き起こる。緩やかな状態は緩慢でもある。そんなによくはないとも取れるし、さほど悪くもないとも言える。都合がいいのだ。GDPの7割近くを占めている個人消費はどうか。「緩やかに持ち直している」、まったく同じだ。良くも悪くもない。日本チェーンストア協会が昨日発表した10月の全国スーパーマーケットの総販売額は、前年比1.6%増の1兆1025億円だった。結構いい数字が出ている。

全国旅行支援事業に後押しされて旅行者が増えている。コロナ規制も大幅に緩和された。インバウンドにも期待がかかる。コロナの第8次感染拡大が心配されているが、個人消費もなんとなく動きそうな気がする。ただし気になるのは物価だ。総務省がけさ発表した11月の東京都区部消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は103.6と、前年同月比3.6%上昇した。前月の3.4%上昇を上回り、1982年4月以来の高い伸び率となった。家庭の可処分所得も伸び悩んでいる。来年の春闘も気になる。となればブラックフライデーが盛り上がる保証はどこにもない。岸田政権も相次ぐ閣僚辞任で雰囲気は暗い。明るい話題がまるでない。サッカーの日本代表に頼るしか方法がないのだろうか。たとえば、来年の春闘に向けて企業経営者が大幅な賃上げを予告するというのはどうだろうか。歴史に残る経営者の“ひと言”、期待するだけ虚しいか?