[東京 23日 ロイター] – 政府は23日、歳出総額が11年連続で過去最大となる2023年度一般会計予算案を閣議決定した。新設の防衛力強化資金を一括計上することで防衛関係費が膨らみ、年度当初比での増加幅は歴史的な水準となる。年初からの急ピッチな円安を反映し、外交・防衛予算の為替前提は1ドル=137円と、比較可能な2010年度以降でもっとも円安に振れた。同日夕の臨時閣議で正式決定した。歳出のうち、一般歳出は年度当初比5兆3571億円増の72兆7317億円とした。

新たな防衛力整備計画初年度となる23年度の防衛関係費を増やすほか、財源確保法の整備を踏まえて創設する防衛力強化資金への一括繰り入れが歳出を押し上げた。歳出の3割を占める社会保障関係費は36兆8889億円とした。

国債発行残高の累増で利払い負担が増えることも響き、歳出全体の伸びは、直近ではリーマン危機後の2009年度当初(5兆4867億円増)を超える異例の規模となる。年明けの通常国会に予算案を提出し、年度内の成立を目指す。

歴史的な円安進行を受け、主に外交・防衛予算を編成する際の「外国貨幣換算率(支出官レート)」は137円に設定した。

22年度の108円からは29円の円安水準となるが、想定より円安に振れた場合には在外公館の経費や装備品購入で海外送金を行う際、円ベースでの支出が膨らみ、補填(てん)金などによる追加対応が必要になる。

<公債依存度は低下>

歳入では、税収を69兆4400億円と想定。22年度当初からは4兆2050億円の伸びで、4年連続で過去最大を更新する見込みだ。税外収入では防衛財源4兆5919億円も含め、9兆3182億円を計上する。

差額を埋める新規国債は22年度当初比1兆3030億円減の35兆6230億円とした。建設国債を6兆5580億円、赤字国債を29兆0650億円発行する。自衛隊施設整備に4343億円の建設国債を充てることも固めた。

予算案の公債依存度は31.1%(22年度当初は34.3%)に低下する。