Steve Holland, Parisa Hafezi, Maayan Lubell
[エビアン(フランス)/ドバイ/エルサレム 15日 ロイター] – トランプ米大統領は15日、イランとの戦争終結に向けた合意は双方が署名済みであると明らかにした。今回の合意は、世界のエネルギー市場を混乱させてきた紛争解決に向けた、これまでで最も重要な一歩となる。ただ、詳細はまだ公表されておらず、合意内容には不明な点が多く残る。両国は恒久的な停戦についてはこれから交渉する必要があるとしている。
トランプ氏は、主要7カ国(G7)首脳会議(サミット)が開催されるフランス東部エビアンに到着後、記者団に対し「合意は全て署名済みだ。ご存じの通り、海峡は既に一部開放されている」と語った。19日にジュネーブで開催される見通しの署名式には、バンス副大統領が出席すると述べた。 もっと見る
合意は、事実上封鎖状態にあるホルムズ海峡を再開し、停戦を60日間延長する内容。交渉担当者は次の段階で、イランの核開発計画の今後といった難しい課題に取り組むことになる。これを受け、原油価格はこの日、3月10日以来の安値に下落した。
イランのペゼシュキアン大統領は交流サイト(SNS)に、米国とイランの覚書は戦闘停止に向けた「重要な一歩」だと書き込んだ。ただ、恒久的な停戦に向けた最終合意は「まだ形になっていない」と指摘した。
バンス氏は米CNNに対し、署名された覚書は約1ページ半の分量で「非常に大まかな文書だ」と語った。米当局者によると、詳細は今後2日以内に公表される。バンス氏は、覚書にはイラン向けの「非常に大規模な制裁緩和措置」が含まれると述べた。 もっと見る
米国は、ホルムズ海峡の航行について、米国とイランの戦闘終結に向けた合意に基づき、60日間は無料で通過できるとし、同海峡の無償航行が最終合意の一部となることに期待を表明した。 もっと見る
米国とイランの当局者によると、今回の合意は最終的に、制裁解除、海外資産の凍結解除、近隣の湾岸同盟国が拠出する3000億ドル規模の復興基金の設立を通じて、イランに大きな経済的利益をもたらす可能性がある。
米当局者は匿名を条件に、イランがこうした利益を受けるには、核兵器を決して開発しないという米国の要求を満たし、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラなど代理勢力への支援を打ち切る必要があると指摘した。

トランプ氏は、2月末にイスラエルと共に対イラン攻撃に踏み切った当初の目標をほとんど達成できていないようだ。イランの神権体制は依然として維持されているほか、弾道ミサイル計画の解体やヒズボラなど武装勢力への支援停止という要求はいまだ満たされていない。
イランのウラン備蓄の扱いも未解決のままとなっている。核兵器開発の意図を一貫して否定してきたイラン当局者は、譲歩した部分はほとんどないと述べた。
<イスラエルは軍駐留継続>
また、レバノンでのヒズボラとイスラエルとの戦闘も、依然として大きな争点となっている。イランが、レバノンでの完全な戦闘停止が合意の条件だと主張する一方、イスラエルのネタニヤフ首相はレバノン南部から軍を撤退させないとしており、ヒズボラはレバノンの避難民に対し、国境地帯の村に帰還する前に公式の指示を待つよう呼びかけた。 もっと見る
ネタニヤフ氏は記者会見で「イランはわれわれに撤退を求めたが、私は屈しなかった」と述べた。会見では、同氏とトランプ氏がこの紛争を巡り意見の相違を抱えてきたことを認めた。イスラエルはイランとの和平協議に直接は参加していない。
こうした中、米当局者は、イスラエルのレバノンからの撤退は合意の条件ではないと述べた。現地の治安当局によると、米・イランの合意発表後にレバノンでの戦闘は弱まったものの、完全な停止には至っていないという。
レバノン国営メディアによると、イスラエルのドローン(無人機)がレバノン南部の町ケファル・テブニットで車を攻撃し、運転手が死亡した。ネタニヤフ氏は、イスラエル軍が「戦闘員」4人を殺害したと述べた。
イランのアラグチ外相は、イスラエルは攻撃を直ちに停止すべきだと述べた。
一方、イスラエル当局者は非公式には今回の合意に否定的な見方を示している。ある高官は匿名を条件にロイターに対し、合意は「イスラエルにとって最悪だ」とし、この認識はネタニヤフ氏以下、政権全体で共有されていると語った。