• 海上輸送の混乱は世界経済に新リスク、米製鉄買収阻止を議員ら訴え
  • テスラ株主の焦燥、利下げ着手が重要と地区連銀総裁、米経済を楽観
Drivers park their taxis outside Gracie Mansion during a protest demanding debt relief in New York, U.S., on Friday, Oct. 16, 2020.
Drivers park their taxis outside Gracie Mansion during a protest demanding debt relief in New York, U.S., on Friday, Oct. 16, 2020. Photographer: Paul Fragipane/Bloomberg

ニューヨークのジョン・F・ケネディ空港。かつて長蛇の列だったタクシー乗り場が、最近では閑散としています。しかしタクシーがなかなか来ないために待たされ、以前より早く帰宅できるようになったかどうかは微妙。一方で横断歩道を渡った先にあるライドシェアのピックアップエリアは、大きな荷物を抱えた乗客で溢れんばかりです。またマンハッタンの繁華街でウーバーのアプリを使ってもなかなか応じてくれる車両がないとき、同じウーバーのアプリでタクシーを指定すると、すんなり配車が決まることがあります。競合するタクシーとウーバーは、顧客データの一部共有を落としどころの一つとして共存しているようです。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

物流ショックの兆し

イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘に絡んだ紅海での商船攻撃は、輸送の遅延と財の価格上昇につながり、経済に新たなインフレリスクをもたらす恐れがある。ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のアナリストは、ルート変更は輸送コストの上昇と輸送期間の長期化を意味すると指摘。上海からロッテルダムまでの40フィート(12.192メートル)型コンテナ輸送料は、10月末から44%上昇した。ただ新型コロナウイルスが流行していた2021、22年の水準は大幅に下回っている。一方で株式を上場している世界的海運大手の時価総額は、襲撃が本格化した12日から約220億ドル(約3兆1600億円)跳ね上がった。

ハードル

米民主党の議員3人がバイデン大統領に対し、日本製鉄による米USスチール買収を阻止するよう要請した。ペンシルベニア州選出のケーシー上院議員らはイエレン財務長官に宛てた書簡で、今回の取引を対米外国投資委員会(CFIUS)は審査し、阻止すべきだと記した。ペンシルベニア州は米大統領選における重要な激戦州で、USスチールが本社を構える。イエレン長官はCFIUSの議長を務めている。共和党議員からも同様の要請が出ている。

指数に見劣り

米電気自動車(EV)大手テスラがS&P500種株価指数の採用銘柄として取引を開始してから、20日でちょうど3年。株価は採用時から約11%上昇したが、S&P500種は同期間に約28%上昇。ロス・キャピタル・パートナーズのクレイグ・アーウィン氏は「テスラのバリュエーションはS&P500種に採用された時点でかなり行き過ぎていた」と指摘。「今テスラ株でもうけるには、ボラティリティー(変動性)を利用した戦略が正解だ」と話した。今後を左右するのは「完全自動運転」技術の成功可否だと、データトレック・リサーチのニコラス・コーラス氏は指摘した。

着手が重要

米フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は、政策金利の引き下げに着手することが重要だが、今すぐではないと述べた。「金利を下げ始めることが重要だ」とラジオとのインタビューで発言。「あまり急ぐ必要はないし、今すぐにやるつもりもない」と述べ、「金利を現行水準で維持し、引き下げに着手するべきだ」と続けた。また景気減速の度合いは政府発表のデータが示すよりも深いようだとも述べた。

膨らむ楽観

12月の米消費者信頼感指数は予想を上回る110.7に上昇し、前月からの伸びが2021年3月以来の大きさとなった。労働市場とインフレの見通しに対する楽観の強まりを映した。今後6カ月の見通しを反映する期待指数も上昇。1年先のインフレ期待は2020年終盤以来の水準に低下した。一方で11月の中古住宅販売件数は、市場の予想外に増加。ここ2年にわたって続いている低迷に一服感が示された格好だ。

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