金融庁は26日、企業向け保険料を事前に調整していた損害保険大手4社に対し、保険業法に基づく業務改善命令を発出した。それ自体は日本特有の談合に基づく金融不祥事だが、業務改善命令に至った理由はビックモータース事件や最近のダイハツの不正検査にも通じるものがある。もっと言えば自民党が問われているパーティー券疑惑もまさに同じ構造だ。鈴木財務大臣は今回の改善命令を出した東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険の大手損保4社に対して次のように批判した。「経営陣が(長年にわたって対応を)十分に検討してこなかった結果、広く反復、継続して(不正が)行われていた」(産経ニュース)と。安倍・二階派をはじめ同じ構造が自民党にもあったのではないか。「派閥幹部が長年にわたって黙認してきた結果、裏金づくりが広く反復、継続して行われてきた」。

損保大手4社の今回の不祥事は、東洋経済によると以下のようなものだ。「各社は主に大手企業向けの共同保険(リスク分散のため複数社で保険を引き受ける仕組み)や官公庁向けの保険で、提示する保険料の水準や団体割引率を担当者間で事前に調整したり、単独で引き受ける場合はどこが幹事会社となるかをすり合わせたりした疑いがある」というもの。法律的には独禁法違反のカルテルや談合に相当するが、公取委の最終判断はだいぶ先になる。このため金融庁は公取委の最終判断を待たずに、保険業法に基づく業務改善命令を先行して発出した。「4社によるカルテル行為の組織性、悪質性、反復性を踏まえると、一部業務停止などの重い処分も当初は想定されたが、ふたを開けてみれば業務改善命令にとどまった」(東洋経済)とある。

理由は大きく2つあると東洋経済は指摘する。一つは、大手4社が業界シェアの8割超を握る共同保険の引き受けを一定期間停止させると、ほかに引き受ける損保が現れず契約更改できない企業が続出する可能性があったこと。二つ目はカルテルの最終判断を下すのは公取委。4社とも現時点では「疑義」にとどまっていること。ダイハツは損害額が数兆円規模と見込まれているが、国内全工場の生産を全面的に停止した。この違いは何か?監督官庁である財務大臣は3世議員である麻生氏の後を受けて2世議員の鈴木氏が引き継いだ。同じ麻生派。しかも姻戚関係にある。安倍長期政権の時から財務大臣は麻生派が独占している。長年にわたって麻生派の大臣に監督されてきた大手損保業界。まさか「大臣が長年にわたって黙認してきた」ことはないとおもうが、鈴木氏の批判はブーメランと自民党を直撃している。

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