Rita Nazareth

  • 日銀の内田副総裁発言を受けた円売りの流れが継続
  • 株・債券安、ボラティリティーに見舞われた市場のもろさ浮き彫り
Japanese 10,000 yen banknotes arranged for a photograph in Tokyo, Japan. 
Japanese 10,000 yen banknotes arranged for a photograph in Tokyo, Japan.  Photographer: Soichiro Koriyama/Bloomberg

外国為替市場で円の対ドル相場は軟調に推移。日本銀行の内田真一副総裁が、金融市場が不安定な状況で利上げは行わないと示唆し、東京時間に円が売られた流れが続いた。

為替直近値前営業日比変化率
ブルームバーグ・ドル指数1250.611.420.11%
ドル/円¥146.76¥2.421.68%
ユーロ/ドル$1.0921-$0.0010-0.09%
  米東部時間16時56分

  6日には日銀、財務省、金融庁が国際金融資本市場に関わる情報交換会合(三者会合)を開催。先週末からの株価や為替の乱高下について議論していた。

  クレディ・アグリコルCIBシニア外為ストラテジスト、デービッド・フォレスター氏はこの会合で、日銀が「実質的に非難される」格好となったと指摘。「内田副総裁の発言は日銀が近い将来の追加利上げに慎重になる可能性が高いことを確認するものだ。これは円を圧迫するだろう」と述べた。

  その上で、ドル・円相場は146円40-70銭近辺のテクニカル上の抵抗水準を上抜けたことで、148円50銭に向かう公算が大きいと続けた。

  米金融当局がこれまで考えられていたよりも積極的な利下げを実施するとの見方も、従来人気があった円キャリー取引の急速な巻き戻しを誘発していた。

  エバコアのクリシュナ・グハ氏は「日本の資産価格の極端な変動と世界的な円キャリー取引の巻き戻しは、米リセッション(景気後退)を巡る新たな懸念を伴う株式相場の下落と人工知能(AI)トレード反転に拍車をかけた」と指摘。「日銀は市場を落ち着かせるために、まず一歩踏み出した」と述べた。

Yen Extends Decline as BOJ Sends Dovish Signal

  LPLファイナンシャルのクインシー・クロスビー氏は、先週の日銀の驚くほどタカ派的なスタンスをきっかけとする世界的なキャリー取引の巻き戻しは、円の著しい上昇につながったが、こうした巻き戻しの動きはかなり落ち着いたと指摘。

  「巻き戻しの速度が緩む中、市場は世界的に安堵(あんど)のため息をついているが、ドルと円の関係もキャリートレードの重要な要素だ」とクロスビー氏は説明。「米利下げサイクルが近く始まるという市場の見方を主因に、ドルは軟調。これは円の上昇を支援するはずで、キャリー取引にとってはマイナスだ」と続けた。

  ノムラ・インターナショナルの通貨ストラテジスト、宮入祐輔氏は、対ドルで円をショートにすることで、まだそれなりのキャリー収益を得ることができるが、この不安定な市場ではそうするだけの価値はないと指摘。ドル・円相場は9月末までに143円付近に落ち着くと予想しているという。

  UBSのシャハブ・ジャリヌー氏らストラテジストは、円に対する投機的ポジションの解消はさらに進む余地があると指摘。円は対ドルで来年末までに10%余り上昇すると予想し、円が再び150円を超えて下落するには「米景気が著しく減速しつつあるという市場の見方が大きく間違っている必要があるだろう」とリポートに記した。

  米国債相場は下落。世界の市場に広がった混乱が収まりつつある上に、この日実施された10年債入札が不調だったことが響いた。

国債直近値前営業日比(BP)変化率
米30年債利回り4.25%6.71.61%
米10年債利回り3.94%5.11.32%
米2年債利回り3.97%-0.9-0.22%
  米東部時間16時56分

  10年債利回りは一時、8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し、3.97%を付けた。10年債入札(420億ドル=約6兆1600億円規模)は最高落札利回りが3.960%と、入札前取引(WI)水準の3.929%を大きく上回った。低めの利回りが敬遠された。

  10年債入札での予想を下回る需要は、最近の国債上昇が一巡した可能性を示唆する。メタ・プラットフォームズなど高格付け各社による社債の発行が相次いだことも、米国債への重しとなった。

  クレジットサイツの米投資適格級・マクロ戦略責任者、ザッカリー・グリフィス氏は7日の入札結果について、「米国債利回りの上方向への調整が短期的には続くという当社の見方と整合する」と指摘。「やや弱かった雇用統計を受けてのリプライシングはかなり行き過ぎていたようだ」と話した。

  ゴールドマン・サックスの米金利戦略責任者ウィリアム・マーシャル氏とビル・ズー氏は「労働市場や市場機能において深刻な悪化が進行しているとの広範な証拠」がない限り、米国債利回りは恐らく低過ぎるとリポートで指摘。「相場がここから有意に上昇するには、これらのリスクのいずれか(あるいは両方)が顕在化する必要がある」と記した。

  米国株は反落。10年債入札が弱い結果となった後、下げ足を速めた。歴史的なボラティリティーに見舞われた市場のもろさを浮き彫りにした。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数5199.50-40.53-0.77%
ダウ工業株30種平均38763.45-234.21-0.60%
ナスダック総合指数16195.81-171.04-1.05%

  日銀のハト派的なシグナルを受けて、S&P500種株価指数は一時1.7%上昇していた。

  エヌビディアを中心に大型テクノロジー株が下落。決算が期待外れとなったスーパー・マイクロ・コンピューターは20%急落。低調な業績見通しを示したエアビーアンドビーも安い。

  シティー・インデックスのファワド・ラザクザダ氏は「株式は依然として脆弱(ぜいじゃく)だ」と指摘。「強気派を再び奮い立たせるためには、底打ちを示すさらなる証拠が必要だ。全体的に、センチメントは慎重な状況が続いた。直近の押し目で買いを入れる自信があった人は多くない。来週に米消費者物価指数(CPI)の発表が控える中ではなおさらだ」と話した。

  ニコラオス・パニギリツオグル氏らJPモルガン・チェースのストラテジストは、株式相場が2023年10月のような売られ過ぎの領域に入ったことを示す兆候はほとんどないと指摘。「当社の計算では、世界レベルで株式の配分が2015年以降の平均水準に戻るには、株価がここからさらに8%下落する必要があるだろう」とリポートに記した。

Stocks Wipe Out Gains After Weak Treasury Sale

  原油先物相場は続伸。世界の株式相場が最近の急落から回復傾向にあることに加え、イランによるイスラエルへの報復攻撃が警戒されているため、買いが優勢になった。

  レバノンの親イラン民兵組織ヒズボラやイスラム組織ハマスの指導者を暗殺した報復として、イランがイスラエルを攻撃する可能性に各国が備えている。ウクライナ軍はロシアへの越境攻撃を開始した。

ウクライナ軍、ロシアに越境攻撃-2022年の侵攻後で最大規模 (1)

  5日には、国際的に承認されている方のリビア政府が「政治的恐喝」を理由に、同国最大のシャララ油田に生産停止を命じた。リビア国営石油公社は7日、日量27万バレルを生産していた同油田を巡り、不可抗力条項の適用を宣言した。

Oil Climbs In Recovery Rally | WTI rose to trade above $74 after touching seven month lows

  米エネルギー省の統計によると、先週の米原油在庫は373万バレル減少し、2月以来の低水準となった。在庫減少は6週連続と、2022年1月以来の長期的な減少局面にあり、現物需要が引き続き強いことを示した。

  原油は依然として、中国と米国の需要低迷による逆風に直面しており、第4四半期からは石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成するOPECプラスが減産幅を縮小する方向だ。

OPECプラス、10月以降に減産幅を縮小する方針を維持

  PVMオイル・アソシエーツのアナリスト、タマス・バルガ氏は「景気縮小は避けられないと確信している人は当面、株式やコモディティーから手を引くだろう」と指摘。「しかし、恐らく過半数であるそれ以外の人は、リセッションの明確な兆候が表れない限り、そうすることに消極的であろう」と述べた。

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物9月限は、前日比2.03ドル(2.8%)高の1バレル=75.23ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント10月限は2.4%上げて78.33ドルで引けた。

  金相場はほぼ変わらず。株式相場をにらみながら、もみ合う場面が目立った。

  金スポットは前日までの4営業日で2%余り下げていた。金は通常、資金の逃避先と見なされるが、5日は株価急落の損失カバーから換金売りが出た。

  金は先月、最高値を記録し、年初来ではなお約16%上昇している。9月の米利下げ観測に加え、中央銀行の旺盛な需要が上昇を支えた。イランとイスラエルの緊張関係も逃避先資産としての需要を高めた。

  ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限は、前日比80セント高の1オンス=2432.40ドルで引けた。ニューヨーク時間午後2時30分現在、金スポット相場は0.1%安の2389.73ドル。

原題:Stocks Halt Rally as Weak Bond Sale Jolts Trading: Markets Wrap(抜粋)

Stocks Halt Rally as Weak Bond Sale Jolts Trading: Markets Wrap(抜粋)

Treasuries Slide as Investors Shun 10-Year Sale at Lower Yields(抜粋)

Yen and Swiss Franc Slump, Norway’s Krone Advances: Inside G-10(抜粋)

Yen Tanks After Dovish BOJ Signal Tempers Bets on Further Hikes(抜粋)

Oil Climbs in Recovery Rally While Traders Eye Iran Retaliation(抜粋)

Gold Wavers After Four-Day Drop as Broad Market Recovery Stalls(抜粋)