▽植田日銀総裁、基調物価2%に高まれば利上げ-見通し予断持たず点検
伊藤純夫
- 基調物価は徐々に高まっている、米関税の影響含め経済・市場を確認
- 足元物価上昇はコメ含む食品価格の影響が大きい、今後徐々に緩和へ
日本銀行の植田和男総裁は18日、基調的な物価上昇率が2%に高まれば利上げで緩和を調整する考えを示した上で、見通しが実現するか予断を持たず点検するとの見解を示した。衆院財務金融委員会で答弁した。
植田総裁は、2%の物価安定目標の実現へ重視している基調的な物価上昇率について、「徐々に高まってきていると判断している」と説明した。今後、基調的な物価上昇率が2%に向けて高まっていく見通しが実現していくとすれば、「それに応じて政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していくことになる」との認識を示した。
その上で、見通しが実現していくかどうかを予断を持たずに点検していくと指摘。米関税政策の影響を含めて「内外の経済物価情勢、あるいは市場動向を丁寧に確認して適切に政策判断していく」と語った。
トランプ米政権の関税政策を受けた先行き不確実性の高まりや金融市場の混乱により、市場が想定する日銀による追加利上げのタイミングも後ずれしている。一方で、18日に発表された全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は、前年比の伸びが前月から拡大するなどこれまでの賃金・物価動向は堅調だ。総裁は鍵を握る見通しの実現性を入念に点検していく考えを示した。
総裁は足元の物価上昇について、コメを含む食品価格上昇の影響が大きくなっているとしつつ、こうしたコストプッシュの影響に関しては「今後、徐々に緩和していく」との従来の認識を改めて表明。金融政策運営は、引き続き物価目標を持続的・安定的に実現する観点から、適切に金融政策を運営していきたいと述べた。