桜木優樹
高市首相(自民党総裁)が、4月の今年度予算成立以降、党幹部らと相次いで会食している。政権発足直後は会合を避けてきたが、コミュニケーションを増やすことで党内融和と政権基盤の強化を図る狙いがあるとみられる。(桜木優樹、長谷部駿)
首相は22日夜、党参院幹部らを首相公邸に招き、食事を共にした。松山政司参院議員会長、石井準一参院幹事長らに加え、官邸側からは木原官房長官と佐藤啓官房副長官が参加した。
予算審議を巡っては、2025年度内の予算成立がかなわず、首相が参院自民幹部に不信感を募らせた経緯がある。だが、首相はこの日、「少数与党の中で大変ご苦労いただいている」と語りかけ、和やかに労をねぎらったという。手土産に化粧水も渡した。
5月に入って昼や夜に党幹部らと会食するのは4回目だ。今月15日昼に首相官邸で麻生副総裁や鈴木幹事長らとステーキを食べながら、意見を交わした。
首相は、自身を「飯会苦手な女だ」と評し、昨年10月の首相就任から12月上旬まで一度も夜に外出して会食したことはなかった。就任から4月までの半年でも数回にとどまったが、ここにきて姿勢を一変させている。
首相周辺は「内閣支持率が高くても、自分一人では政権運営できないのは首相自身が分かっている。『苦手』を克服しようとしている」と明かす。
政権発足以降、党内からは、会食の少なさから「首相の肉声が伝わらず、党内の声も届かない」(党重鎮)と不満の声も出ていた。こうした声を受け木原氏や尾崎正直、佐藤両官房副長官らも会合を勧めた。首相は「官邸の皆さんが熱心にセットしてくれるのが大きい」と周囲に語る。今後は経団連幹部らとの懇談なども予定されている。
もっとも、首相は公務終了後の時間を、家事や政策資料などを読み込む時間に充てることがなお多く、連日、党幹部や財界関係者らと会食を重ねた歴代首相のスタイルとは一線を画している。党内からは「首相の『会食嫌い』は変わっておらず、一巡すればマイペースに戻るのではないか」との見方も出ている。