急成長する中国の家電メーカーであるシャオミが、3月に高速道路でE Vの事故を起こし、乗っていたい女子大生3人が焼死した。この事故が、関係者の間で話題になっている。Yahoo!ニュースが23日に配信した記事で私も初めて知った。搭載されている自動運転支援システム「NoA」(Navigate on Autopilot)が、前方に横たわっている障害物を検知し、手動運転に移行せよと指示を出した直後に車は中央分離帯に衝突して炎上。E V車のドアが開かないまま、女子大生3人が焼死した。遺族によると3人とも真っ黒焦げだったという。この事故に中国テックの大問題が潜んでいることを、世界中の人々や主要メディアは気付いていない。記事の著者であるふるまいよしこ氏は、中国が力を入れっている「AI化、スマート化、無人化」という国家戦略はこの先どうなるのかと、疑念を投げかけている。

トランプ政権の関税政策で緊張感が増している米中関係。誤解を恐れずに言えば、対米輸出で稼いだカネをテック開発に注ぎ込み、米国を追い抜くことを国家戦略としているのが習近平総書記長率いるいまの中国だ。ジャーナリストの山口敬之氏はテック開発の中心は「AGI(Artificial General Intelligence=汎用的なAI)だ」と指摘する。人間の指示を待たずにAIが自分で考え、新しいAIを作り出す技術。AGIで中国は米国を抜いてトップを走っているという。この技術を使って中国がロボット型の人間兵器を作り出せば、アメリカは対抗できなくなる。安全保障上の大問題だ。山口氏は「大統領はこの危険性に気付いている」とみる。だから2期目の政権がスタートした1月20日の翌日、ソフトバンクグループの孫正義社長、オープンAIのサム・アルトマンCEO、オラクルのラリー・エリソン会長を招いて記者会見を行い、今後4年間で日本円にして77兆円を超える巨額のAGI投資を行う計画を明らかにしたと強調する。

事故を起こしたシャオミのEVも、形式的には国際的な基準を満たしていた。緊急時にドアを開けるボタンも付いていた。だが、事故はシステムが検知した2秒後に起こっている。人命を守るためのボタンではなかった。形式を満たすためのボタンに過ぎなかった。この記事を読んで思い出した。中国は事故を起こした新幹線の車体を地中に埋めた。タイではミャンマーで発生した地震の長周期波動で中国が請け負った建設中のビルが倒壊した。中国が主張する安全は見せかけの安全にすぎない。人命に対する倫理観が欠落しているのだ。そんな中国が米国に先駆けてAGIを開発したら、米国だけではなく世界中の安全保障が危機にさらされる。関税による中国包囲網は世界の安全のためにも必要だ。これがトランプ関税をめぐる騒動を見守る山口氏の目線だ。連日、関税騒動を報道する世界中のメディアにはまったくない長期的な視線だ。

<参考>
▽高速道路で女子大生3人即死~シャオミ製EVが中国スマートカー業界へ与えた大打撃<YAHOOニュース>4/23(水) 9:02