8日の総裁選前倒し投票を前にした7日、石破総理が突然辞意を表明した。前日の6日、菅副総裁と小泉農相が官邸を訪れて総理と会談した。このあたりから流れが変わり始めたのだろう。想定されたこととはいえ、7日の突然の辞意表明で政局が一変した。この一連の流れを簡単に総括すれば、総裁選の前倒し投票で敗北が確定的となった石破総理が、辞意を表明する環境を整えたということだろう。菅副総裁と小泉農相が環境整備の相手に選ばれた。これはポスト石破を意識した動きだろう。現に主要メディアの政治部出身のジャーナリストと称する人たちが、次期総裁として小泉農相有説を流し始めている。小泉氏はまだ立候補の意思を表明していない。自民党内の大勢を支配していると思しき党内DS主導の総裁選が始まったというわけだ。

石破総理の辞意表明をテレビで見た。総理の椅子に恋々とし、政策課題を次から次へと口にする総理の“演説”を聞きながら、途中から腹が立ってきた。何もできなかった総理のあれもこれも含めた大演説だ。それ以上にミジメさが画面を通して伝わってきた。敗軍の将がみっともないほど大声で、兵を語っているのである。それと同時に、この政局の唯一の期待感だった自民党の「解党的改革」もできなくなった。小泉農相と菅副総理は要するに「臭いものに蓋」をしたのだ。自民党のいつもの手法だ。キーワードは「全党一致」「分裂回避」「団結・前進」など。そもそも自民党というのは基本的な政策で一致していない政党だ。例えば税制。増税派と減税派が同居している。積極財政派と財政健全派は本来同居できない人たちだ。そうした人たちが一緒に共存している矛盾。国民の生活苦は自民党に内在している矛盾が原因でもある。

総裁選前倒し投票はこうした矛盾を顕在化させる絶好のチャンスだった。誰が増税派で誰が減税派か、この投票によってある程度はっきりしただろう。自民党の大半の政治家は勝ち馬に乗るだけ。政策も政治家としての信念もない人たちだ。そのチャンスを小泉農相と菅副総理がぶっ潰した。いつものように「臭いものに蓋」をしたのだ。これで裏ガネ土壌も金権体質も維持される。それ以上に国民を無視した対米従属、服従、隷属外交が続く。総裁選はフルスペックで実施されるようだ。1カ月の政治空白が生ずる。この1カ月は自民党再生を訴える絶好の機会になる。複数の候補者がどうでもいい政策論争を繰り返す。前任者は総理になった途端、政策論争で繰り広げた主張を全てかなぐり捨てた。国会を即解散し、非公認の候補者に2000万円を支給した。全て曖昧にしてよしとする自民党の体質が変わらない限り、日本の再生は無理だろう。