日本の株価が連日騰勢色を強めている。民主党の一部議員の造反で、米政府機関閉鎖が収束に向かう見通しとなったことを好感している。今朝のBloombergによると「日本企業の業績は、旺盛な人工知能(AI)需要や米関税影響の縮小、為替の円安を追い風に、市場予想を上回るケースが相次いでいる」との見解を示している。昨今の日本株急騰は米国からの資金流入に支えられている。米国にまつわる不透明感を嫌った投資家が、高市政権の発足で円安、株高が進んでいることに目を付け、投資先として日本に注目し始めたようだ。海外投資家を勇気づけているのが日本企業の業績回復。Bloombergによると「東証株価指数構成企業の半数超が10日までに四半期決算を発表し、そのうち2人以上のアナリストがカバーする銘柄の約6割で市場予想を上回った」。まさにポジティブサプライズだ。
だが株価が上昇しているのは大手優良企業などごく一部の銘柄。こうした銘柄はすでに、庶民には手が届かないほど高くなっている。米国市場ではマグニフィセント・セブン(Magnificent Seven)と呼ばれる銘柄、つまり「GAFAM」に「TESLA」と「NVIDIA」を加えた7銘柄中心に急騰しているが、これと似た状況が日本でも起こっている。株高で儲かるのはごく一部の大金持ちに限られている。どうしてこうなるのか。大きな要因の一つが円安だ。円安によって輸出を主軸としている大企業には差益がガッポリ入る。結果的に業績は予想外に好調。トランプ関税のマイナスを上回って利益が伸びている。企業と同じで政府にも「インフレタックス」ともいうべき想定外の税収増が入ってくる。これに比べると庶民はどうだ。生活必需品は毎月値上がりしている。政府の家計調査によれば所得も名目では増えているものの、インフレを加味した実質ではマイナスの状態が続いている。
これは毎月家計から企業と政府に、所得移転が行われ得ていることを意味する。高市政権はガソリンの暫定税率を年内に廃止することを決めた。スピード感を持って公約を実現した。それは評価できるのだが、これだけでは家計の所得移転は止まらない。これを止めるには大幅な減税が必要になる。所得税減税や消費税減税に手がつかない限り、庶民の窮乏化は続く。本格的な減税には時間がかかる。それ以上に国会議員の中にはいまだに、財政健全化を優先する与野党議員が多くいる。スピード感が必要なのは国会の議論だけではない。こうした議員の意識改革も必要なのだ。「失われ30年」は、政府・自民党による間違った政策の積み重ねでもあった。円安と一部銘柄にとどまった株高を放置すると、高市政権もかつての失政の二の舞を犯すことになる。家計を犠牲にしないためには、円高と庶民の手に届く株高、そんな経済政策が必要になる。