- 米国、対象船舶は場所問わず臨検・乗船・捜索・拿捕の可能性と通知
- 今週の封鎖開始以降、14隻の船舶を引き返させた-米国

米国は16日、ホルムズ海峡封鎖について、制裁対象の船舶は場所を問わず乗船・拿捕(だほ)することを検討すると警告した。その数時間前、非積載のイラン関係船舶少なくとも2隻が海峡を通過してペルシャ湾に入った。
ホルムズ海峡の通航は依然として極めて制限されているが、双方向で航行は一部続いている。ブルームバーグがまとめた船舶追跡データによると、湾内に入った船舶に加え、中国関連の原油タンカー2隻がペルシャ湾を出てオマーン湾へ航行した。
米海軍中央司令部は「封鎖の実施に加え、すべてのイラン船舶、米財務省外国資産管理局(OFAC)の有効な制裁対象となっている船舶、および禁制品を運搬している疑いのある船舶は、交戦権に基づく臨検・捜索の対象となる」と明らかにした。
これに加え、軍と商業海運の連絡調整を担う合同海上情報センターが配布した更新情報によると、これらの船舶は場所を問わず臨検、乗船、捜索、拿捕の対象となるとした。中東域外でも拿捕が行われる可能性を示唆している。
船主やエネルギー商社、投資家は、海上輸送の要衝であるホルムズ海峡で米国とイランがどのように支配力を行使しているのか見極めるため、通航状況を注視している。
戦争開始以降、通航はおおむね停止していたが、イランは戦前とほぼ同水準の原油輸出を継続しており、同国にとって重要な資金源になると同時に、世界全体の供給への影響を抑えている。
米国は、今週に入って封鎖開始以降、14隻の船舶を引き返させたと明らかにした。信号追跡に基づく限り、積載状態のイラン産原油タンカーがホルムズ海峡を通過して外へ向かう動きは確認されていない。
ただ、イラン産原油の多くは、自動位置情報信号を長期間発信しない船舶で輸送されている。このため、実際の原油輸送量は、自動船舶識別装置(AIS)信号を用いて得られるデータが示唆しているよりも多いとみられる。
戦争開始以降に輸出されたイラン産原油の約4分の3は、自動位置情報信号を発信していないタンカーで輸送されている。また、電子的な干渉により封鎖の追跡は一層複雑になっている。
それでも今週は、非積載のイラン関連タンカーが複数湾内に入った。仮にこれらが外へ出られない場合でも、封鎖が長期化した場合には、同国にとって重要な貯蔵能力を提供する可能性がある。

通航状況
船舶追跡データによると、液化石油ガス(LPG)運搬船「G Summer」はイランのララク島とゲシュム島の間を15日午後遅く通過してペルシャ湾に入った。
空荷の同船は、中国の所有および乗組員であることを発信している。これは一般的な安全対策の一つとされる。同時に目的地としてイラクの港を示していた。
G Summerと同様にイランとの関係を理由に米国の制裁リストに載っている超大型原油タンカー(VLCC)「Hong Lu」も、その直後に両島間を通過した。同VLCCは最大200万バレルの原油を積載可能だが、現在は空荷でイラン沿岸に沿って西へ航行している。一時はイラクのバスラを目的地として示していたが、現在は指示待ちとしている。
G SummerとHong Luは今週に入りUAEのフジャイラ沖に到着した後、15日にオマーン湾を北東へ横断してイラン沿岸へ向かい、その後北上してホルムズ海峡に入った。通常とは異なる遠回りの航路だ。
これに先立ち、ばら積み貨物船「Rosalina」も同じルートを取り、食料を積んでイランの港へ向かっていることを示している。
小型の石油製品タンカー「Nobler」は数時間後、海峡を東向きに通過してオマーン湾へ出た。同船はララク島のすぐ南を通ってホルムズを離れ、オマーンのソハールを目的地としている。同船は2月前半にペルシャ湾へ入り、7週間に及ぶ戦争期間中、この海域にとどまっていた。
Noblerの航行は、イランと関係のあるコンテナ船2隻に続く動きとなる。15日には「Golbon」と「Kashan」がペルシャ湾を離れ、イラン沿岸に沿ってパキスタン国境方面へ向かっているとみられる。
ホルムズ海峡を通過して外洋へ出た原油を積み込んだイランのタンカーは確認されていない。一方で、対立の回避を図っている可能性もある。
原題:More Sanctioned Ships Slip Into Gulf as US Warns on Seizures (1)(抜粋)