- 原油、北海ブレントとWTIが共に5%超上昇-供給リスク再び高まる
- 合意に至らなければ停戦延長の可能性「極めて低い」-トランプ氏
20日のエネルギー市場で原油と天然ガスの価格が急伸した。ホルムズ海峡を通るエネルギー輸送を巡るリスクが再燃し、米国とイランの和平協議が頓挫するとの懸念が広がった。
原油の主要指標である北海ブレントとウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は共に5%超上昇し、ブレントは1バレル=95ドルを上回った。欧州のガス価格も約4%上げた。米海軍は19日にイラン船を拿捕(だほ)。米国とイランの双方が、停戦合意が破られたと主張した。

トランプ米大統領とイラン側は戦争の今後の展開を巡り異なる見解を示している。米海軍によるオマーン湾でのイラン貨物船の拿捕がホルムズ海峡封鎖で初めて行われ、数日中に迫る停戦期限や和平協議の行方が危ぶまれる。
トランプ米大統領はブルームバーグに対し、停戦期限までに合意に至らなければ延長の可能性は「極めて低い」としたほか、合意が成立するまでホルムズ海峡は封鎖された状態が続くと発言。これを受け、価格は上げを拡大した。トランプ氏は停戦の期限について22日だとしている。
バッファロー・バイユー・コモディティーズのマクロ取引責任者、フランク・モンカム氏は「私に言わせれば、海峡はそもそも開かれていなかった」と指摘。「実効性のある枠組みの実現という点では、双方の隔たりは依然大きい」とし、停戦が期限を迎えた後に緊張が高まれば、新たにロングポジションを積み増す余地が出てくると述べた。

米・イラン協議の進展状況や、ホルムズ海峡を船舶が航行できるかどうかを巡る認識が急速に変化する中、原油価格は大きな変動が続いている。
こうした中、ニュースサイトのアクシオスは、米国が23日に国務省でイスラエルとレバノンの第2回協議を主催すると報じた。
ホルムズ海峡を通る商業船舶の動きは20日時点でほぼ停止状態にあり、海峡からの脱出を試みている石油製品タンカーが1隻あるほか、反対方向に進む原油タンカーと液化天然ガス(LNG)船がそれぞれ1隻ずつにとどまる。米国防総省はSNSへの投稿で、米海軍による封鎖開始以降、27隻の船舶に対して引き返すか、イランの港へ戻るよう指示したと明らかにした。
SEBのチーフ商品アナリスト、ビャーネ・シールドロップ氏は「市場は依然として迅速な解決を見込んでいるが、日を追うごとに供給不足のリスクは高まっている」と指摘。「物流面では供給の混乱や航行時間の長期化、運賃や保険料の上昇により、実際の原油の流れは制約を受けた状態が続いている」と述べた。
今回の衝突は前例のない供給ショックを引き起こし、インフレ圧力を強めるとともに、世界の経済成長を圧迫している。戦争が世界にもたらす累積的影響は今週から顕在化し始める見通しで、複数の国で企業景況感調査がスタグフレーションのリスクを示唆する可能性がある。
ライト米エネルギー長官は、米国のガソリン価格は来年まで1ガロン=3ドル以上にとどまる可能性があると指摘。一方、トランプ大統領はこの見方を「誤り」とし、「事態が終わればすぐに」消費者物価は下がると付け加えた。中間選挙が控える中、ガソリン価格の上昇はトランプ政権にとって大きな政治的リスクをもたらす。
CIBCプライベート・ウェルス・グループのシニアエネルギートレーダー、レベッカ・バビン氏は「ニュースの見出しに振り回される状況が続き、市場は完全に反応主導の状態に戻っている」と分析。「価格は高値を離れ、市場は近い将来の供給回復をなお織り込んでいるが、回復が遅れれば、現物市場は一層引き締まり、ペーパーマーケットの楽観もリセットされることになる」と述べた。
原題:Oil and Gas Rise As Hormuz Tensions Flare Ahead of Iran Deadline(抜粋)