- 戦争による供給混乱、決断を促した-UAEエネルギー相
- 脱退はOPEC、サウジに打撃-短期的な影響は限定的との見方も

アラブ首長国連邦(UAE)は石油輸出国機構(OPEC)とOPECプラスの枠組みから脱退することを決定した。イラン戦争で原油供給に著しい混乱が生じている現在、生産を協調する体制の将来が問われている。UAEの脱退はOPECおよびその主導的立場にあるサウジアラビアに打撃を与える。
石油市場の均衡と価格の防衛で長年協調してきたOPECにとって、5月1日付のUAE脱退は重大な損失になる。OPECプラスはOPECと非加盟産油国で構成される。
今回の動きは、イラン戦争が今後数年にわたって世界のエネルギー市場をどのように再形成するかを示す最新の兆候ともなった。サウジアラビアと長年の緊張関係にあるUAEは、これまでにもOPEC離脱の可能性に言及してきた。UAEのマズルーイ・エネルギー相はインタビューで、戦争による混乱が決断を促したと述べた。
「われわれの戦略全てを非常に慎重に時間をかけて見直した結果だ」とマズルーイ氏は説明した。「適切なタイミングでの決定だと考えている。市場に甚大な影響を与えないからだ。市場は供給不足の状態にある」と続けた。

マズルーイ氏によれば、戦争による供給不足により、集団での意思決定プロセスに制約されることなく、市場の需要に対応できる機動性が必要とされているという認識だ。UAEは「責任ある」産油国になると同氏は述べた。UAEのように大幅な余剰生産能力のある産油国は少ない。
中核メンバー国の離脱はOPECに重大な打撃を与える一方、石油価格を支える取り組みを繰り返し批判してきたトランプ米大統領にとっては追い風となる。イラン戦争が起きる前のOPECでは、UAEは3番目に大きな産油国であり、全体の供給の約12%を占めていた。
ライスタッド・エナジーの地政学分析責任者、ホルヘ・レオン氏は「長期的にはOPECの構造的な弱体化が予想される」と分析。OPEC事務局での勤務歴がある同氏は「OPECを離れたUAEは、生産を増やすインセンティブと能力の両方を持つことになり、サウジアラビアが担う市場安定役の持続可能性がさらに問われるだろう」と述べた。

同国は生産能力を増強したいと考えており、ここ数年のOPEC会合ではサウジアラビアと対立してきた。
中東全域での影響力という点でも、両国の対立は時折目立つようになっていた。両国はイエメンでの戦争において対立する勢力を支持しており、サウジは今年、強まるUAEの影響力を抑える方向に行動を取った。
石油を巡る意見の対立は、過去にUAEをOPEC脱退の瀬戸際に追い込んだこともあった。
イランでの戦争がペルシャ湾からの輸出を困難にしているため、UAEのほかにもサウジやイラクなどは増産どころか減産を余儀なくされており、短期的な影響は限定的とみられる。
関連記事:原油上昇、イラン提案への米対応待ち-UAEのOPEC脱退で一時上げ縮小
OPEC脱退は近年、UAEに限られない。アンゴラは産油量の減少と、OPEC指導部に割り当て減少を求められたことを不服とし、2023年末に脱退した。エクアドルは減産を背景に2020年に脱退し、2018年には小規模産油国のカタールが天然ガス部門の強化に注力するため脱退した。
UAEの国営石油会社アブダビ国営石油会社(ADNOC)は、同国の生産能力を485万バレルとしており、他の推計を大幅に上回る。日量500万バレルの目標を達成すれば、大量の原油を市場に追加供給する余地が生まれる。
原題:UAE Quits OPEC as War Upends Oil Markets and Gulf Tensions Rise(抜粋)