- 対ドル一時3%高の155円57銭、財務相らのけん制が相次いでいた
- 円を買い支える日本の取り組みに米国が加わるかが重要-ING

梅川崇、Carter Johnson、Vassilis Karamanis
外国為替市場で4月30日、円が一時ドルに対して3%上昇し、日中ベースでほぼ2年ぶりの大幅高となった。日本当局が為替市場に介入したとの観測が広がった。片山さつき財務相らが市場を強くけん制する発言をし、投資家に円売りを控えるよう「最後通告」を発してから数時間後のことだった。
円は対ドルで一時155円57銭に上昇し、2月末以来の高値を付けた。その後は157円10銭台から156円20銭台の比較的狭いレンジでの推移が続いた。
介入観測の前、円は約40年ぶりの安値圏で取引されていた。円安により既に上昇している原油など輸入品の価格が押し上げられ、インフレ加速リスクが高まっていた。
日本の財務省はコメント要請に直ちには応じなかった。ただ、日本経済新聞は政府関係者の話として、政府と日本銀行が円買い・ドル売りの介入を実施したと報じた。急激な値動きは介入があったことを示唆していると、複数のトレーダーやストラテジストも指摘した。
事情に詳しい関係者によれば、日本による介入が実施される前、米国の経済当局者に通知があった。今回の対応は、過度な変動リスクがあった場合のみ行動し、かつ各国に事前連絡を行うとする主要7カ国(G7)合意に沿ったものだ。

片山氏はこの日、「かねてより断固たる措置に言及をしてきたところだが、いよいよ申し上げてきた断固たる措置を取るタイミングが近づいている」と、財務省内で記者団に対し述べた。
三村淳財務官も「非常に投機的な動きが高まっている」とし、「いよいよ断固たる措置を取る時が近づいていると思っている」と援護射撃した。その上で、投機筋を念頭に「これを最後の退避勧告として申し上げる」と強調した。
TJMヨーロッパの通貨セールス・トレーディング担当マネジングディレクター、ニール・ジョーンズ氏は「警鐘が鳴らされた瞬間だった」と述べ、「財務省が日銀に対し、対円でドルを売るよう指示したとみている」と語った。
次のステップ
ニューヨーク時間に入ると、円はこの日の高値からやや伸び悩み、市場関係者の関心は当局の次の対応に移った。
スコシアバンクの為替戦略責任者、ショーン・オズボーン氏は「2022年と2024年の積極的な日銀の介入はドル高の大幅な修正を促したが、円買いは一度では足りず、複数回にわたる必要があった」と述べた。
当局は24年に複数回にわたり、計1000億ドル(約15兆6500億円)ほどを投じて円を買い支えた。
INGのグローバル市場責任者、クリス・ターナー氏は、為替介入を巡って注視すべき重要な点は、円を買い支える日本の取り組みに米国が加わるかどうかだと指摘。米国が関与すれば、より強力なシグナルと投機筋に受け止められる可能性がある。
同氏は「高いエネルギー価格や、日本の実質金利が大幅なマイナス圏にあること、およびドル需要が強いことを踏まえると、日本当局がドル・円相場の持続的な下落を期待するのは難しい」と分析。「不確定要素は米財務省が関与するかどうかだ」と付け加えた。
米財務省の担当者にコメントを求めたが、返答はなかった。
ニューヨーク連銀のデスクは1月、米財務省に代わってドル・円のレートチェックを実施した。米連邦準備制度理事会(FRB)が2月に明らかにした。円は当時、対ドルで急伸した。
流動性
円相場は30日に急騰する前、アジア時間に1ドル=160円台で推移。日銀とFRBが今週、いずれも政策金利を据え置いた後、円安が進んでいた。日米の金利差がドル買い・円売りにつながってきた。
日銀の植田和男総裁が近い将来の利上げ示唆に慎重なことも円への重しだと、一部ストラテジストは指摘している。
日本はゴールデンウイークに入り流動性が低下する。これは2024年のように介入の好機となり得るため、トレーダーらは当局の動きに対する警戒を強めていた。
片山氏は5月2日から6日まで、ウズベキスタンで開かれるアジア開発銀行(ADB)年次総会に出席。三村氏も同行する見通し。為替の当局者が不在となるが、片山氏は28日の閣議後会見で、海外出張中でも対応は変わらないとの認識を示していた。
両氏はこれまで、外国為替市場だけではなく原油先物市場にも介入する可能性をほのめかしてきた。足元の円急伸と歩調を合わせるように原油価格も下落しており、日本政府が市場介入に踏み切った可能性が浮上しそうだ。
三村氏は30日、原油先物市場への介入の可能性について「われわれの照準は全方位だ。何も変わっていない」と話した。
スペクトラマーケッツのブレント・ドネリー社長は、30日に円が上昇した後に原油価格が下落したことについて、両市場で相関のあるポジションを取っていたトレーダーの動きによる可能性があると述べた。
同氏は「原油高を狙うなら、恐らく円売りのポジションも構築しているはずで、円のポジションで損失を被れば、原油先物も売ることになる」と指摘した。
原題:Yen Soars as Japan Intervenes After Issuing ‘Final’ Warning (1)、Yen Jump Spurs Speculation of Intervention After ‘Final’ Warning (抜粋)