ここ数日のトランプ発言をまとめてみた。それは軍事的脅しと得意のディールを絡ませたもので、イランの屈服を目指しているようにみえる。ただこの路線が有効に機能しているようにはみえない。イランはどこまで抵抗できるのか、世界の安定はイランの抵抗力にかかっているように見える。
1. イラン問題:「合意しなければ数日以内に再攻撃」
ここ数日、トランプ大統領はイラン攻撃再開を示唆している。
- 攻撃の延期と湾岸諸国への配慮 「湾岸諸国(カタール、サウジアラビア、UAEなど)の指導者からの要請を受け、火曜日に予定していたイランへの攻撃を延期した」と明かしました。
- 強硬なタイムリミットの提示 週明けにはSNSで「イランは迅速に行動したほうがいい。さもなければ彼らには何も残らないだろう」と警告。さらに火曜日には記者団に対し、「2日か3日、あるいは来週初めまでに合意が成立しなければ、米国による新たな攻撃が近い。彼らに核兵器を持たせるわけにはいかない」と語り、イラン側に猛烈なスピードで譲歩を迫っています。
- イラン側の提案を「ゴミ」と一蹴 イラン側が提出した停戦や核問題に関する最新の提案について、トランプ氏は「あんなものはゴミ(garbage)だ」と一蹴しています。
2. 台湾問題:「台湾への武器売却は非常に良い交渉材料」
中国への公式訪問を終えた直後、Fox Newsのインタビューに応じた際の発言が、台湾や国際社会に波紋を広げています。
- 交渉の『チップ』としての台湾 米国による台湾への武器売却について、「中国との取引における『非常に良い交渉材料(negotiating chip)』だ」と言及しました。これに対し台湾側からは「米国に取引の材料(カード)として使われるのではないか」という懸念や緊張が高まっています。
- 一方で中国に対しては 「習近平国家主席から、中国はイランに武器を送らないという確約を得た」とも発言しており、中国との首脳会談(両国を『建設的戦略安定関係』と位置付けた)の成果をアピールしています。
3. 同盟国への不満:「カナダとの共同防衛を一時停止」
トランプ氏の代名詞でもある「同盟国による防衛費・防衛義務の不履行」への不満も再び爆発しています。
- カナダへの対抗措置 トランプ政権は、第二次世界大戦期から続いていたカナダとの共同防衛の取り組みを一時停止すると発表(5月18日)しました。「同盟国が相互の防衛義務を果たしていない」という従来からの持論を実力行使に移した形です。
▽トランプ発言の特徴は、軍事的な威嚇(イランへの攻撃示唆)と外交的なディールを同時に走らせ、相手に揺さぶりをかける「ディールメーカー」としての手法です。ディールという手法は、相手の反応に応じて押したり引いたりするため、発言内容に一貫性がないのが特徴。TACOと揶揄されることもある。市場はトランプ氏の揺れ動く発言に同期していると言っていいでしょう。揺れ動くたびに勝機を見出そうとするのが市場の特徴でもあり、トランプ氏と市場は持ちつ持たれつの関係かもしれない。トランプ氏の手法の対極にあるのが「安定」でしょう。トランプ氏の辞書には安定という言葉はない。