5月21日に初会合が開かれた、自民党の高市早苗首相(党総裁)を支える新グループ「国力研究会(通称:JiB=Japan is Back)」について、出席人数や有力議員の動向、政治的な評価をまとめました。


## 1. 出席・入会した議員の数

  • 入会者数:347人(自民党所属の国会議員の8割超
  • 初会合の出席者数:約320人以上

当初の想定を大きく上回る、異例の大規模なスタートとなりました。発起人には、麻生太郎副総裁をはじめ、昨年の総裁選で高市氏と争った茂木敏充外相、小泉進次郎防衛相、小林鷹之政調会長といった党内の実力者・ライバルたちが軒並み名前を連ねています。


## 2. 出席しなかった自民党の有力議員

  • 高市早苗 首相(総裁)本人 「高市総理の応援団」としての性質を持つ会ですが、設立趣意が「政府と自民が一体となって政策を実行する」という純粋な勉強会(読売新聞)の形をとっているため、首相本人は出席していません。
  • 村上誠一郎 前総務大臣 高市首相と一定の距離を置くスタンスを明確にしており、この会合に対して批判的なコメントを出して欠席しています。

多くの有力議員が発起人として参加したため、明確に反旗を翻して欠席した有力議員はごく少数に留まりました。


## 3. この「国力研究会」の評価と今後の見方

メディアや党内からは、その規模の大きさに驚きの声が上がる一方で、実態については冷ややかな見方もあり、大きく2つの評価に分かれています。

① 「高市一強」を見せつける圧倒的な党内基盤

これだけの人数が集まったことで、党内における「高市一強」の構図を決定づけたという評価です。去年の総裁選で競い合ったライバル4人(茂木氏、小泉氏、小林氏など)をすべて応援団に巻き込んだ形になるため、秋の内閣改造や、将来的には「来年秋の総裁選での無投票再選」をも見据えた強固な足場固めになったという見方があります。

② 「とりあえず入っただけ」の同床異夢

一方で、党内からは「大政翼賛会(批判的な意味で)のようでナンセンスだ」「全員が集まるのは今回が最初で最後ではないか」との冷ややかな声(khb東日本放送)も出ています。 派閥が事実上解体された現在の自民党において、「人事で目を付けられたくない」「乗り遅れるとマズい」という心理から、とりあえず名前だけ登録した議員が多数含まれているというのが実情です。そのため、メンバーの忠誠心は決して高いとは言えず、今後の政局次第で簡単に瓦解する可能性を孕んだ「看板倒れの巨大グループ」になるリスクも指摘されています。

5月21日に開かれた「国力研究会」の初会合ですが、現在の高市政権で林総務大臣(林芳正氏)は出席していません

報道によると、昨年の総裁選で高市首相と争った有力議員5人のうち、茂木外相、小泉防衛相、小林鷹之氏らは会の発起人に名を連ねて出席しましたが、林総務相だけは発起人から外れており、初会合も欠席しました。

林総務相に近い関係者からは「国力研究会への参加を希望している」との声も事前に伝えられていましたが、今回の初会合の段階では距離を置く形となっています。

武田良太 元総務大臣(旧二階派幹部)は、「国力研究会」に入会し、5月21日の初会合に出席しています。

武田氏の動向については、党内で非常に大きな注目を集めていました。

## 麻生氏との「犬猿の仲」を越えた電撃参戦

この「国力研究会」は麻生太郎副総裁が発起人の筆頭を務めていますが、武田氏と麻生氏は地元・福岡の主導権をめぐって長年バチバチにやり合ってきた「犬猿の仲」として有名です。そのため、当初は武田氏が距離を置くのではないかと見られていました。

しかし、武田氏は会合直前の5月14日、自身が率いる政策グループ「総合安全保障研究会」の会合で、「全員でこれに参加して、さらなる政策の推進に一役買おうではないか」UQライフ)と宣言。旧二階派系を中心とする自らのグループ約20人を引き連れて、揃って入会・出席する選択をしました。

## なぜ参戦したのか?(政治的背景)

これには主に2つの思惑があると見られています。

  1. 高市首相との強い絆 実は武田氏が国政復帰を目指した選挙の際、高市首相はいち早く応援に駆けつけるなど、2人は良好な関係にあります(東洋経済オンライン)。麻生氏主導の議連であっても、高市首相を支える大義名分のもとで動いた形です。
  2. 「無力化」あるいは存在感のアピール 麻生氏らが作った「身内のコアグループ」に、武田氏がまとまった軍勢を引き連れて乗り込んだことで、結果的に「国力研究会」は340人を超える誰でも入れる大所帯となり、麻生氏らの当初の主導権や機密性を薄めさせる(無力化する)効果も生んでいます。

このように、林総務相が距離を置いた一方で、武田氏はあえて大集団で乗り込むという、全く異なる老獪な政治的戦略を見せました。

岸田文雄 前首相(旧岸田派)も、5月21日の「国力研究会」の初会合には出席していません。

党内所属国会議員の8割超(347人)が参加する大所帯となったこの会ですが、岸田氏は入会しておらず、距離を置く形をとっています。

## 岸田氏が距離を置く背景

  1. 麻生副総裁との「すきま風」 この国力研究会は、麻生太郎副総裁が発起人の筆頭として主導しています。岸田氏と麻生氏は、去年の総裁選のプロセスや派閥の解体をめぐって関係が冷却化したと言われており、麻生氏が主導する新グループに岸田氏が進んで参加する動機は薄いとみられています。
  2. 自身のグループ(旧岸田派)の動向 同じ旧岸田派(宏池会)のナンバー2であった林芳正総務相も発起人から外れ、会合を欠席しています。岸田氏や林氏を中心とする勢力は、「高市一強・麻生主導」の党内トレンドに対し、一定の独自性を保とうとするスタンスを示していると言えます。

ちなみに岸田氏は同日の21日、自身が本部長を務める党の「日本成長戦略本部」の役員会に出席し、複数年度にわたる予算策定などを盛り込んだ成長戦略案を提示するなど、独自の政策発信を行っています。

石破茂 前首相も、5月21日の「国力研究会」の初会合には出席していません。

岸田前首相や林総務相と同様、入会もしておらず、明確に距離を置いています。

## 石破氏が不参加の背景と理由

  1. 高市政権との「政治スタンス・政策」の決定的な違い 石破氏は財政再建の重視や地方創生、あるいは憲法・安全保障問題でも独自の丁寧な議論を重んじるスタンスです。一方、高市首相が掲げる積極財政(消費税ゼロ法案など)やタカ派的な保守路線の政策とは一線を画しており、首相と距離を置く「非主流派」の筆頭として不参加を選んだのは自然な流れと言えます。
  2. 麻生副総裁との関係 この議連を主導しているのは麻生太郎副総裁ですが、石破氏と麻生氏は過去の政局(麻生政権退陣時の「麻生おろし」など)から長年にわたり強い確執があることで知られています。麻生氏が最高顧問として睨みを利かせるグループに、石破氏が参加する余地はそもそもありませんでした。
  3. 政権への冷ややかな視線 石破氏は、この国力研究会をはじめとする党内の動きや現在の政権運営に対し、「いずれどこかで行き詰まる」ダイヤモンド・オンライン)などと周囲に指摘しており、国民の感覚との乖離を危惧する冷徹な視線を崩していません。

自民党議員の8割超が「踏み絵」を恐れるように雪崩を打って参加する中、石破氏や岩屋毅前外相らは会合に姿を見せず、現政権および麻生・萩生田ラインに対する独自の対峙姿勢を鮮明にしています。