スウェーデン王立科学アカデミーは6日、2026年のノーベル物理学賞を、米ウィスコンシン大のフランシス・ハルツェン博士(82)に授与すると発表した。授賞理由は「アイスキューブ・ニュートリノ観測所への決定的な貢献と高エネルギーニュートリノの発見」。ハルツェン氏が率いる国際研究チームには日本の千葉大の研究者が参加しており、今回の快挙に大きく貢献した。

 南極のアイスキューブでは、深さ1400~2600メートルの氷の層に設置された観測施設で、日本や米国などが参加して11年に本格始動した。千葉大のグループは13年、観測データから高エネルギーのニュートリノを発見。02年にノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊氏が1987年に素粒子観測施設「カミオカンデ」(岐阜県)で検出したニュートリノの1億倍も高いエネルギーだった。

「ニュートリノ天文学を新たな高みに」

 日本時間6日夜に開かれたスウェーデン王立科学アカデミーの記者会見では、南極の観測装置「アイスキューブ」のプロジェクトは米ウィスコンシン大のフランシス・ハルツェン教授の主導のもと、14か国450人以上の科学者が力を結集させた成果だと紹介された。ノーベル委員会のエヴァ・オルソン氏は「ニュートリノ天文学を新たな高みへと飛躍させた」とたたえた。

 記者会見中に電話インタビューに答えたハルツェン教授は「受賞を知り、大変光栄に思う。この賞が、大規模な共同研究に多大な貢献をしてくれた方々への称賛として受け止められることを願っている」とコメントした。

「千葉大チームが重要な役割」深沢教授

 宇宙からの電磁波観測に取り組み、千葉大の研究者との情報交換を続けてきた広島大の深沢泰司教授(高エネルギー宇宙観測)は「アイスキューブが高エネルギーニュートリノを観測したことで、電磁波ではなかなか見えなかった世界が分かってきた」と話す。「地上の加速器でも再現できないほどエネルギーの高い宇宙線が、宇宙のどこかで加速されていることの手がかりを探る非常に強い手段となった」と指摘。宇宙のどこかにある「加速器」の正体や、場所を突き止める強い手がかりを与えたと語った。

 深沢教授は、千葉大チームについて「検出器の開発や組み立て、観測したニュートリノの情報をインターネットを通じて世界に瞬時に伝える仕組みを作るなど、非常に重要な役割を果たした。貢献度は大きく、存在感を示していた」と喜んだ。

梶田・東京大卓越教授「受賞は時間の問題だと思っていた」

梶田隆章・東京大卓越教授

 岐阜県飛騨市の観測施設「スーパーカミオカンデ」での実験でニュートリノに質量があることを発見し、2015年にノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章・東京大卓越教授が6日、アイスキューブのプロジェクトについて「大切な研究でノーベル賞の受賞は時間の問題だと思っていた」などとコメントした。

 梶田氏は「(ニュートリノとなる前の)宇宙線がどこから来たか、どのようなメカニズムで加速するかなどに迫る宇宙線分野で長らく待たれていた研究で、非常に重要なステップだ」と意義を解説した。