
[サンパウロ 25日 ロイター] – ブラジルの選挙裁判所は25日に行われた大統領選の決選投票で、左派のルラ大統領が右派のフラビオ・ボルソナロ上院議員を破り、再選を果たしたと発表した。ルラ氏は史上初となる通算4期目の大統領職を担う。世論調査や世界的な現職への逆風を覆す結果となり、中南米で相次ぐ右派の勝利に歯止めをかけた。
ルラ氏は世界の左派政治家を代表する存在で、今世紀のブラジル政治で最も大きな影響力を持ってきた。敗れたボルソナロ氏は前大統領の長男で、第1回投票では首位に立ち、父親が率いた極右運動の復活を目指していた。
ルラ氏再選は一時難しいと予想されていた。長年にわたる汚職スキャンダルや物価上昇を受け、ルラ氏と同氏が率いる労働者党への支持が低迷したためだ。また、社会が大きく変化する中、アプリを介した経済活動の広がりや非公式部門の労働者増加といった現実からルラ氏が取り残されているように見られていた
今回の再選は、復活を繰り返してきたルラ氏の政治人生にとって新たな返り咲きと言える。80歳の同氏は汚職事件で2018─19年に収監されたが、有罪判決は後に無効となり、22年の大統領選でボルソナロ前大統領を破った。
世論調査の関係者は、予想を上回る投票率がルラ氏の勝利を後押ししたと指摘した。コンサルティング会社シンク・ポリシーの共同創業者レオナルド・バレット氏は、有権者がボルソナロ氏の新鮮さより、ルラ氏の慣れ親しんだ安心感を選んだと述べた。
ただ、このほど行われた議会選挙では1980年代の民主制復帰以降で最も保守色の強い議会が誕生しており、ルラ氏の4期目はこれまでで最も困難なものになる可能性がある。
ボルソナロ氏の自由党(PL)とその協力政党は、合わせて下院で280議席超、上院で最大50議席を占める可能性があり、両院で過半数を確保できる規模となる。
サンパウロのジェトゥリオ・バルガス財団で国際関係を専門とするオリバー・シュトゥンケル教授は「ルラ氏は当初からレームダック(死に体)になる可能性が高い」と指摘。新議会の下では大統領から議会へ権限が移る近年の傾向が一段と強まる公算が大きいとし、ルラ氏が最高裁判事指名を巡る影響力低下や、取りまとめが難しい政党連合への対応に直面し、弾劾の脅威にもさらされると予想した。