
細野豪志防災相は2日の記者会見で、防災庁の発足に当たり、南海トラフ巨大地震などの大規模災害について「国家の命運をかけた戦いになる」と述べ、対応を誤れば「国家としての没落は避けがたい」と危機感を示した。東日本大震災の経験を踏まえ、災害で弱体化した日本が他国から攻撃を受ける可能性にも言及。「世界は大きく変わった」と語り、自然災害と安全保障上の危機が重なる事態への備えを訴えた。
震災当時の危機感
細野氏は平成23年の東日本大震災当時、民主党の菅直人政権で首相補佐官などを務め、対応に当たった。津波や東京電力福島第1原発事故で自衛隊が総動員される中、「万が一、この時に日本有事が起こったら対応できるだろうか」と考えていたという。
当時については「日本に対する同情があった。これだけ弱っている日本を攻撃することは、さすがにできないという空気が世界の中にあった」と語った。東日本大震災から15年が経過し、国際情勢は大きく変わったとして、「むしろ突いてくる可能性が出てきている」と述べた。具体的な国名は挙げなかった。

細野氏は、災害と同時にサイバー攻撃などが起きる事態に備える必要があるとも指摘した。防災庁だけで対応することは難しく、「政府全体でしっかりと考えていかなければならない」と述べた。この問題について小泉進次郎防衛相とも話しており、「非常に深刻な課題だということは認識している」と語った。
避難所の改善と国民の備え
細野氏が強調したのが、災害避難所の環境改善の必要性だ。
細野氏は防災庁の職員に対し、避難所で暮らすのが「自分の子供や親ならどうか」と繰り返し問いかけてきたという。「その食事で納得できるか。そのトイレを使えるか。それぐらいの意識でやらないと避難所の在り方は変わらない」と語った。
温かい食事や清潔なトイレ、安心して休めるベッド、入浴できる環境を整える必要性を挙げ、「日本の防災が変わったと国民の皆さんに納得していただくためには、避難所が変わらなければならない」と訴えた。

これまでの被災地訪問を振り返り、避難所で暮らす高齢者について「避難所で一番気の毒で、何とかしたいと思うのは、率直に言ってお年寄り」と語った。高齢者が安心して避難生活を送り、再び生活を立て直せる環境を整えることこそ重要課題と位置付けた。
国民に対しては、家具の固定や携帯トイレ、水、食料の備蓄を呼びかけた。
自分で備えられる人が準備を進めれば、限られた物資や支援を高齢者や障害者らに振り向けられると強調。「自分でさまざまな備えができる方については、そういう備えを自らがすることによって、災害に弱い方々を助けることができる」と訴えた。(奥原慎平)