アメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会は、パウエル議長のもと初めて開いた金融政策を決める会合で、好調なアメリカ経済を背景に、去年12月以来の利上げに踏み切ることを決めました。一方、注目されていた、今後の利上げのペースは、来年については2回から3回に引き上げて、金融引き締めのペースを上げる見通しとなりました。FRBは、21日までの2日間、ワシントンで、パウエル議長のもと初めて金融政策を決める公開市場委員会を開きました。

終了後に発表された声明によりますと、アメリカ経済は、拡大しているとして、FRBは、去年12月以来、3か月ぶりに、利上げに踏み切ることを全会一致で決めました。具体的には、1.25%~1.5%の範囲となっている今の政策金利を0.25%引き上げ、1.5%~1.75%の範囲とします。

また、注目されていた、今後の利上げのペースについては、ことしはあと2回とこれまでの想定を据え置きましたが、来年については2回から3回に引き上げて、金融引き締めのペースを上げる見通しとなりました。

アメリカ経済は、大規模な減税で成長の加速が見込まれる一方、鉄鋼などへの異例の輸入制限措置の発動による貿易摩擦の悪影響も懸念されることから、FRBのパウエル議長は、難しい金融政策運営を迫られることになります。

FRB議長「米経済 力強さ増す」

FRBのパウエル議長は公開市場委員会の後、初めてとなる会見に臨みました。
この中で、パウエル議長は利上げを決めた理由について、「政府の財政政策が景気を刺激していることに加え雇用の拡大が所得を増加させていて、ここ数か月でアメリカ経済の見通しは力強さを増している」と説明しました。

また、今後の利上げのペースに大きな影響を与える物価の動向についてパウエル議長は、物価上昇率が2%の目標に近づいているとして自信を見せた一方、「物価上昇がこれから一気に加速することを示すデータはない」とも述べ、経済の過熱を防ぐための金融引き締めを急ぐ必要はない、という認識を示しました。

保護主義 経済への悪影響に懸念

さらにパウエル議長は、トランプ政権の貿易政策について現時点で景気の見通しに影響を与えてはいないとしながらも、「会合に参加した多くのメンバーから貿易政策への懸念が示された」と述べて、トランプ大統領が今週、発動する予定の鉄鋼などへの異例の輸入制限措置をはじめ、保護主義的な貿易政策がアメリカ経済に与える悪影響に懸念を示しました。