27日の南北首脳会談で署名された共同宣言では、「完全な非核化は南北共通の目標」とされたものの、北朝鮮がすでに開発した核兵器をどう放棄するのかには触れられず、実際に非核化が進むのかどうかは、今後開かれる見通しの米朝首脳会談での議論に委ねられた形となりました。

10年半ぶり、3回目となる南北首脳会談は、27日、軍事境界線にあるパンムンジョム(板門店)の韓国側の施設で開かれ、会談のあと、韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領と北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長は、パンムンジョム宣言と名付けた共同宣言に署名しました。

宣言では、ことし、朝鮮戦争の休戦協定に代わる恒久的な平和体制を目指して、南北とアメリカの3か国、あるいは南北と米中の4か国での協議の開催を推進することで合意しました。

また、北朝鮮南西部のケソン(開城)に南北の共同連絡事務所を設置するほか、朝鮮戦争などで南北に離れ離れになった離散家族の再会に向けて赤十字会談を開くことなどでも合意し、朝鮮半島での平和の定着と南北関係の発展については具体的な行動計画が多く盛り込まれました。

一方で、非核化をめぐって、南北は「完全な非核化を通じて、核のない朝鮮半島を実現するという共通の目標を確認した」とされましたが、北朝鮮がすでに開発した核兵器を放棄する具体的な手法や時期などについては何も触れられず、キム委員長からも非核化への言及はありませんでした。

こうしたことから、実際に非核化が進むのかどうかは、今後開かれる見通しの米朝首脳会談での議論に委ねられた形となりました。

ムン大統領は、来月中旬にアメリカを訪問し、トランプ大統領と会談する方向で調整しており、今回の会談結果を直接、報告したうえで、米朝首脳会談に向けて意見を交わすものとみられ、韓国政府としては、米朝の橋渡し役として働きかけを強めていく方針です。