トランプ政権が昨日、中国の輸入製品に対して10%の関税を上乗せする追加措置を発動する計画だと発表した。対象となるのは金額にして2000億ドル(円換算で約22兆円)相当の中国製品。2カ月の審査期間を経て9月頃には発動される予定だという。米国は7月6日に制裁関税の第1弾として340億ドル相当の物品に対して25%の追加関税を科している。これに対して中国も同日、同規模の制裁関税を米国からの輸入製品に付加した。今回発表された2000億ドルの追加関税が発動されれば、中国は対抗して同規模の対抗措置を発動するだろう。そうなれば米中の貿易戦争は抜き差しならない局面を迎える。おそらく影響は米中の2カ国にとどまらない。世界経済は大混乱するだろう。とりあえずは米国に対抗して中国がどんな手を打つのか、最大の関心事だ。

中国の米国産物品の輸入は昨年1300億ドル規模にとどまっている。米国の追加関税の対象金額はこれを上回っている。このため、現実的に中国は同規模の対抗措置がとれない。中国の対抗策は必然的に貿易以外の分野にも広げざるをえない。すぐに思いつくのは人民元の安値誘導だ。これはもう始まっているのかもしれない。このところ人民元は弱含みで推移している。しかし、人民元の安値誘導にはリスクもつきまとう。人民元の海外流出を招きかねない。2015年夏、中国は人民元の安値誘導に踏み切ったが、これが引き金となって人民元の海外流出を招いた。同じ過ちは繰り返したくないだろう。とすれば次に考えられるのは米国債の売却だ。だが、これも結局は人民元安を誘発し、人民元の海外流出につながる。現実的にはかなり難しい気がする。

不買運動はどうか。尖閣列島をめぐって日中の緊張が高まった時、中国は日本車の不買運動に踏み切った。この時、日本車の対中国販売は相当打撃を受けた。同じことを米国の大豆や農産品に対して行う可能性がある。米国の大規模農家はトランプ政権の熱烈な支持者が多い。農産品をピンポイントに狙った不買運動は効果が高い気がする。ただし、米国からの輸入を拒否した場合、代替市場での大豆の値段は急騰するだろう。それ以上に、中国の巨大な需要が米国抜きで満たされるのか、疑問も残る。あとは中国に進出している米国企業を“イジメル”ことぐらいだが、そんなことで2000億ドル相当の追加措置を作り上げるのは難しい。一番いいのは、9月までに米中が報復措置の発動停止で合意すること。時間はまだ十分にある。