[ストラスブール/ローマ 23日 ロイター] – 欧州連合(EU)の欧州委員会は23日、EU規則を「前例のない」形で破るものとして、イタリアの2019年度予算案を拒否した。同国が3週間以内に新たな案を示さなければ、処分も辞さない考えだ。

規律違反があったとして、ユーロ加盟国の予算案を差し戻したのは、今回が初めてとみられる。修正予算案が、EU財務相の勧告内容に沿うことが望ましいと指摘した。

EU閣僚らは7月、イタリアに構造的赤字を対国内総生産(GDP)比で0.6%削減するよう求めた。今回欧州委が拒否した予算案は、赤字を逆に0.8%拡大させるものだった。

欧州委のドムブロフスキス副委員長は記者会見で「イタリア政府は約束した事柄を隠すことなく、意識的に破ろうとしている」との認識を示した。欧州委は、成長想定が過度に楽観的で債務削減実現に疑問符が付くと指摘した。

ドムブロフスキス氏は「財政赤字や債務が拡大しても、成長が長続きする状況はもたらされない。これまでの経験が繰り返し示している」と述べた。

イタリアが3週間以内に、予算案を修正しなければ、欧州委は過剰財政赤字手続きと呼ばれる処分に着手する構えという。

欧州委が5月に同手続きを提案しなかったことについて、イタリアが広範に約束を順守したためと説明。「今回の案は大きな変更を伴うもので、そうした結論の再評価が必要となる可能性がある。ボールはイタリア側にある」と話した。

イタリアのディマイオ副首相は、欧州委の自国予算案拒否を完全に想定していたとし、予算案はEUでなく自国民のためにまとめたと、フェイスブックに投稿。欧州委に自国民や自国政府に対し「敬意」を払うよう求めた。