【北京時事】中国の国会に当たる第13期全国人民代表大会(全人代)第2回会議が5日午前(日本時間同)、北京の人民大会堂で開幕した。李克強首相は政府活動報告で、経済成長の勢いの鈍化を受け、2019年の経済成長率の目標を2年ぶりに引き下げ、6.0~6.5%と設定した。米中貿易協議については「引き続き進展させる。約束したことは真摯(しんし)に履行し、自らの合法的な権益は断固として守り抜く」と述べ、協議への前向きな姿勢とともに安易に妥協しない意向を示した。

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 一方、国防予算は前年比7.5%増の1兆1898億7600万元(約19兆8000億円)。伸びは18年(8.1%増)に比べると下がったが、軍を重視する習近平国家主席の方針を反映し、今年も経済成長目標を上回った。日本の防衛費(19年度予算案)の約3.8倍に達し、2000年(約1210億元)と比べると10倍近くに膨れ上がった。

5日、北京の人民大会堂で、全国人民代表大会(全人代)の開幕式に出席する中国の習近平国家主席(左)と李克強首相(AFP時事)

 1月に発表された中国の18年の成長率は6.6%と28年ぶりの低水準。6.5%前後としていた目標を上回ったが、経済減速傾向が続いており、19年の目標引き下げは避けられなかった。こうした中で李首相は「大規模な減税を実施する」と表明。特に景況感が悪化している製造業と中小企業の税負担を軽減し、景気のてこ入れを図る考えを明らかにした。

 李首相はまた、「製造強国の建設を加速させる」としながらも、米国が見直しを迫る産業政策「中国製造2025」の名称を避けるなど、一定の対米配慮ものぞかせた。15日までの全人代開会中に、米国が強く求めている外国企業への技術移転強要を禁じる外商投資法案が可決される見通し。

 李首相は台湾問題について「『台湾独立』をもくろむ分裂の画策や行動に断固として反対する」と強調。蔡英文政権に、中国本土と台湾を不可分とする「一つの中国」原則を認めるよう迫った。(2019/03/05-12:04)