[アジスアベバ/シンガポール/シドニー/パリ 12日 ロイター] – 欧州航空安全機関(EASA)は12日、エチオピア航空が運航する米ボーイング(BA.N)の最新鋭旅客機「737MAX8」の墜落事故を受け、欧州連合(EU)域内における737MAX8型機および同9型機の運航を一時停止すると発表した。 

10日の墜落事故以降、同型機に運航を停止する動きが相次いでおり、この日は英、ドイツ、フランス、アイルランド、オーストリア、ノルウェー、オーストラリア、シンガポール、マレーシア、オマーンなどが運航停止を発表。これまでにエチオピア航空は保有する737MAX8全機の運航を停止。インドネシア、中国の当局も737MAXの運航を停止しており、同型機の運航は安全との見解を示す米国に対し、他国の措置に追随するよう圧力が強まっている。 

米国内でも、共和党の重鎮ロムニー上院議員と2020年米大統領選への出馬を表明している民主党のウォーレン議員がこの日、同型機の運航を一時停止するよう、米連邦航空局(FAA)に要請した。

墜落事故を受け、ボーイングは向こう数週間でソフトウエアを更新すると表明。声明で737MAX型機の安全性には「完全な自信」があるとの見解を示した。世界各国で運航停止が相次いでいることについて「規制当局や顧客は最適と考える決定を行った」とし、「(米FAAは)現時点では一段の措置は命じておらず、現在入手している情報に基づくと、航空各社に対し新たなガイダンスを出す根拠はない」とした。 

10日のエチオピア航空の墜落事故では、乗客乗員157人全員が死亡。原因究明に向けた調査が進められている。昨年10月にもインドネシア・ライオン航空運営の同型機が墜落事故を起こしている。 

英民間航空局は、737MAXの同国への発着および領空通過を禁止すると発表。 

シンガポール民間航空庁も声明で、737MAX型機すべての運航を一時的に停止すると発表。シンガポール航空(SIAL.SI)傘下のシルクエア―、中国南方航空、ガルーダ・インドネシア航空、山東航空、タイ・ライオン・エアが対象となる。

オーストラリアの民間航空安全当局のシェーン・カーモディー最高経営責任者(CEO)は声明で「737MAXの運航継続に関する安全性リスクの確認でさらなる情報を待つ間、一時的に運航を停止する」と説明した。オーストラリアの航空会社は同型機を運航しておらず、同国を発着するシンガポール航空傘下のシルクエア―とフィジー航空のみが運航停止の影響を受ける。 

中南米では、ブラジルのゴル航空(GOLL4.SA)、アルゼンチンのアルゼンチン航空、メキシコのアエロメヒコ航空(AEROMEX.MX)が同型機の運航を停止。 

アジアでは、韓国のイースター航空が13日から同型機2機の運航を停止する方針を示している。インドは同型機の点検強化を指示しつつつも、「目立った懸念」は確認されていないとしている。 

一方、北米・中東間の路線では同型機の運航が続いている。米サウスウエスト航空(LUV.N)はすべてのボーイング機の安全を確信しているとの認識を示している。 

ボーイングの株価は続落し、午後の取引で7%安で推移している。