4日、火力打撃訓練を指導する北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(朝鮮通信=時事)

 【ソウル時事】北朝鮮国営の朝鮮中央通信は5日、軍部隊の火力打撃(砲撃)訓練が4日、日本海沿いで行われ、金正恩朝鮮労働党委員長が立ち会ったと報じた。専門家の分析によると、朝鮮中央通信が配信した写真には、新型の短距離弾道ミサイルとみられる兵器の発射場面も含まれている。

 北朝鮮は4日、東岸の元山付近から飛翔(ひしょう)体数発を発射しており、訓練の報道はこれを指すとみられる。朝鮮中央通信は大口径長距離放射砲(多連装ロケット砲)や戦術誘導兵器の運用能力の点検などが訓練の目的と説明しているが、弾道ミサイル発射なら、国連安保理決議違反となる。

4日、北朝鮮が行った火力打撃訓練の一場面(朝鮮通信=時事)

 米国の大量破壊兵器専門家ジェフリー・ルイス氏は取材に、「ロシア製短距離弾道ミサイル『イスカンデル』に酷似したミサイルを発射したようだ」と指摘。「北朝鮮は固体燃料型の弾道ミサイル製造施設を拡充している。今回発射されたミサイルは北朝鮮の新世代の固体燃料型ミサイルを代表している」と説明した。ルイス氏らによれば、北朝鮮は2018年2月の軍事パレードでイスカンデルを基に開発したと推定されるミサイルを公開している。

 正恩氏は訓練の結果を高く評価、部隊の迅速な対応能力に満足の意を示した。その上で「いかなる勢力の威嚇や侵略からも、国の政治的自主権と経済的自立を守るため、戦闘力強化のための闘争を一層力強く進めていかなければならない」と強調した。