• 合弁先の台湾食品メーカーが取引内容や財務情報を開示せず
  • 過去にはロイヤルティー支払い滞納も-業界平均上回ると頂新側は反論
中国のファミリーマートの店舗(上海)
中国のファミリーマートの店舗(上海) Photographer: Qilai Shen/Bloomberg

ユニー・ファミリーマートホールディングス傘下で国内コンビニエンスストア2位のファミリーマートが、中国事業での提携先である台湾食品メーカーの頂新グループに対し合弁会社の清算を求める訴えを起こしていることが分かった。収支状況を把握するために必要な情報を開示しないなど信頼関係を損なうような行為があったとしている。

  中国でファミマ事業を展開する合弁会社チャイナ・CVS・ホールディング(CCH)が登記されているケイマン諸島の裁判所に2018年10月に提出された申立書や複数の関係者への取材で明らかになった。CCHにはファミマが約4割、頂新グループが約6割を子会社を通じて出資している。

  申立書によると、12年ごろからCCHと頂新グループとの間の取引内容がファミマに開示されておらず、CCHの利益が不適切に頂新グループに移転されている疑いが生じているほか、16年にはファミマがCCHに派遣した出向者に対しCCHの財務情報の開示も拒まれるようになった。ファミマは信頼関係が回復できないほど損なわれたとして、頂新グループが保有するCCH株を買い取る形での清算を求めている。

  一時期、ファミマブランドの使用に対するロイヤルティーの支払いが滞ったこともあった。頂新グループの関係者によると、ファミマではセブン-イレブンなど競合他社と比較して3倍程度高い水準のロイヤルティーが課せられていると話した。

海外勢で最も成功

  国内市場が頭打ちの中、コンビニ大手各社は中国など海外での事業強化を進めている。調査会社の英ユーロモニター・インターナショナルは、中国のコンビニ市場は今後5年で60%以上拡大し、270億ドル(約2兆9700億円)に達する見通しだとしている。

  ファミマは4月末時点で中国内で2561店舗を展開し、北京や上海、広州など主要都市をほぼカバーする。ユーロモニターのデータでは、ファミマは売上高ベースで市場の8.4%を占め、セブン-イレブンやローソンを抑えて現地でコンビニ2位の地位を築いている。1位は現地企業の東莞市糖酒集団で、海外勢の中ではファミマが最も成功している。 

  ファミマの広報担当、大月新介氏は「係争中のためコメントは差し控える」と電子メールで述べた。頂新グループの広報担当は電子メールで契約上の守秘義務を理由にコメントを控えると回答した。

  ファミマが中国市場に進出した04年当時は外国企業が単独で参入することはほぼ認められておらず、中国側の合弁パートナーとして、創業者は台湾人であるものの1980年代から中国内で事業を運営しており、現地企業として認識されている頂新グループと手を組んだ。

  その後、中国政府は各国からの要求の高まりとともに外資規制を緩和しており、現在では外資の出資規制が残るのは農業や科学研究などの分野に限定されている。

  米中間の貿易摩擦もあり、20年には銀行や自動車などの分野で出資規制を緩和する方針。小売り業界では、自社のブランド価値を享受するため合弁事業を解消する動きも出始めている。17年には米スターバックスが、中国東部の合弁事業の未保有分を約13億ドル(約1425億円)で取得した。